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フルカネルリだ。いつもの文化祭なのだが、本当にいつも通りに展覧会だ。なにか名物になっているような気がしなくもないのだが、気のせいだろうか?


「気のせいじゃないよ? 瑠璃の作ったあのオルゴールとか、ペンダントとか、すっごい人気だったんだから」

「……そうか。原因は私か」


確かにそこそこ気合いを入れて作ったが………そこまでのものだったか?


「クトは気に入ってたみたいだけどネー」

「あ、ナイアさん。お久し振りです」

「最後に会ってからまだ大して時間はたってないヨー?」

「ナイアさんにとってはそうかもしれないけど、私にとっては一月ぶりは久し振りです」


そうだな。小学生にとって一月は長いな。


「そんなことはいいから、またなにか作ってみてよ瑠璃」

「………はぁ。やれやれ……オルゴールでいいか? 同時にかけるとちょうどひとつの曲になるような」

「それいい!やってやって!」


好評だな。さて、作るか。




材料は前回と同じように、異世界で集めた様々な物。

結晶の樹に晶鉄(結晶の鉄)に、初めの異世界での知識を少し。これらを組み合わせてひとつにすれば、オルゴールくらいなら簡単に作ることができる。


さらに作ったオルゴールを組み合わせて連動するようにして、たった三分の短い曲を奏でるようにした。

ただ、凝りすぎて私の身長より大きくなってしまったため、学校に持っていくのを苦労した。クトに連絡したらすぐに本人が飛んできてくれて助かったがな。


この世界に居る時は、私は少しばかり頭の回るだけの女子小学生だということをつい忘れてしまう。まあ、実際には少し違うがな。


「まあ、なんにしろ出来上がってよかったネー」

「そうだな。まさかこんなものを作ることになるとは思っていなかったが……中々楽しかったぞ」


うむ。銭湯も良いがこういった技術職も良いかもしれんな。楽しいし。

またいつか作ってみるとするか。具体的には異世界で。






六年生のとあるクラスは、今回も生徒達の作った展示物の展覧会をしていた。その中で一際目立つのは、やっぱりフルカネルリちゃんの作ったオルゴールだった。


まずはじめに大きい。それも異様に大きい。具体的には一番高いところで三メートルくらいある。

そして材質は魔力そのものと言っても良い高純度の木と鉱石。透き通っていてすごく綺麗。

音もほとんど狂いがないし、リズムだって変わらない。一つ一つがずれる事もなく、部品にかけられた運動エネルギーのロスを消し、半永久期間にする術もうまくできている。

はじめにちょっと力を加えてやればそのまま動き続けるし、それを普通の小学生の力でも止めるのが簡単だと言うのがいい。みんなで楽しめるからね。


そこまで上手くできているこのオルゴールにけちをつけるならば、結構すごい量(人間とは思えない量)の魔力でできているため、普通の人間ならともかく、私達が魔力で加護を与えた人達が当てられて虜になっちゃうこと。それさえ抑えてくれれば百点満点で九十九点をあげてもいい。

つまり、私がそれを抑えれば九十九点ってことだね。


百点じゃない理由? そんなの簡単。フルカネルリちゃんだけじゃなくってみんなにもっと上を目指してもらいたいからだよ。


私達からの力の貸し出しがあって、それを育ててくれればちょっとだけとはいえ私達の力が強くなる(実はこれ、アブホースさんの神格をお兄ちゃんの神格と釣り合わせるために私が考案しました。お兄ちゃんには加護を与えるのを自重してもらって、アブホースさんが加護を与える量を少し多くすれば、たったの数千年で追い付ける可能性が出てくるんです)ので、それを狙ってもいますが……まあ、どちらも負けない取引って言うのは大事だよね?


とにかくそうして上を目指してもらって、自分達の人生を満喫してもらえれば私は嬉しいのです。





  邪神クトとちょっとした計画。




《ちなみにこの計画を知っているのはクトちゃんとボクだけだヨー。アブホースはちょっと神格が足りていないことを悩んでたからネー? サプライズプレゼントってやつサー》





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