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異世界編 3-23

 

槍の英雄ベルトと、斧の英雄トマクは、魔物の犇めく戦場で出逢った。


「ウィィィィィィィィイイイ……ヤーーーーハーーーーーーー!!」

「ギャハハハハハハハハァ!!死ね!死ね!!死ね死ね死ね死ね死ねぇぇっ!!」


二人とも実に物騒な奇声を上げながら、手近な魔物を殺し続けている。

だが、その二人の顔には純粋な笑顔が浮かんでいる。それはまるで、なにも知らない子供のようだった。




戦闘が終わってすぐに、ベルトとトマクは自己紹介を始めた。


「俺は斧の英雄トマクだ。さっきのアレは忘れてくれ。どうも昔から斧の英雄は戦いになると発狂しちまうらしくてな」

「……ああ、なるほど。槍の英雄も似たようなものですよ。テンションを上げに上げて疲労を忘れるんですよ。……ベルトと言います。よろしく」


そう言って二人は握手をして、にこやかに笑い合う。


「……ところで、ベルトは戦いは好きか?」

「嫌いではないですが? と言うか、前衛系の英雄が戦闘嫌いだったら色々不味いと思いますが?」

「だよなぁ。……それじゃあ、ちょっとした戦に付き合わねえか? ここらで魔物が多いのは、魔王の部下がちょいと魔物を使って町を一つ潰そうとしてるんだと」

「……そう言えば、そろそろ年に一度の殺害選定でしたか。生存していた中で、およそ千分の一に当たるものだけを殺すという、カザーネラの」

「おう、それだそれ。どうだ、邪魔しにいかないか?」

「お供しましょう。なかなか楽しそうだ」


こうして二人はまた死地へと向かう。片手に得物を持ち、顔には笑顔を浮かべながら。




そうしている間に他の英雄達とも出会い、いつの間にか役割分担が出来上がっていた。


剣の英雄レイドと魔導の英雄ウィフトは、カザーネラの住む城への道を切り開き、着々と駒を進めるように進んでいく。

槍の英雄ベルトと斧の英雄トマクは、自分達の戦闘欲を満たしながら民や町を守る。

盾の英雄イルドと信仰の英雄ディヴォンは、そんな二組の影を走り回り、カザーネラとの全面戦争に耐えられる力を溜めるために動いている。

錬鉄の英雄ウォロンと彫金の英雄チェシーは、それらのために武器を作り、そして性格に合った剣を提供する。

盗賊の英雄シェイフと諜報の英雄テリエスは、カザーネラの動きを掴んで、それらを正確に英雄達に伝える。


こうして今代の英雄達は、努力を重ねて強くなっていった。




そしてついに、戦闘能力を持つ七人の英雄達は、カザーネラの張った結界まで辿り着く。


ここを越えれば、カザーネラがいるはずの魔王の城まではすぐだ。光の玉は魔導の英雄であるウィフトが持っていて、その出番を今か今かと待っていた。


「……やってくれ、ウィフト」

「はい、はい。できれば今回で終わりにして欲しいけどね……」


ウィフトはそう言いながらも光の玉を結界に近付ける。

すると光の玉は輝きを増し、結界に波紋が生まれる。


ゆらゆらと波打つ結界は、やがてぽっかりと穴を開けたまま固まった。


「……はい、できたわよ。さっさと入りなさい。じゃないと塞がってまたあの鎧と戦うことになるわよ」

「……それもいいかもしれませんね」

「同感だな」

「お断りださっさと入れ禿散らかすぞ」


イルドとレイドに蹴りつけられて、ベルトとトマクは結界の穴に放り込まれた。

「それじゃあ馬鹿二人は放り込んだことだし、カザーネラの城まで行こうか」


そうして英雄達が結界を抜けるとそこは―――



ザック……ザック……


「……ふぅ。そろそろいい時間だし、飯でも食うかな」

「えっ!? ご飯? やったあ!」


なんだかすごくのどかな光景が広がっていた。


「…………なぁ。ここって魔界だよな?」

「…………一般的に言われている、カザーネラが住む世界のことを言っているんだったらその通りのはずよ?」

「…………なんつーか……平和に見えるよな」

「…………外のどこよりも平和に見えるね」


そうして英雄達が呆然と目の前の光景を眺めていると、子供の方と目が合った。


「……こんにちは?」

「…………あ、ああ……こんにちは……?」


子供は不思議そうな顔を崩さないまま、それでも挨拶を忘れない。


「見たことの無い人だけど……もしかして、外から来た英雄さん?」

「……ああ、まあ………」

「ふーん……カザーネラ様を倒しに来たんだ? 頑張ってね」


子供はそれだけで興味をなくしたようで、食事の方に精を出し始めた。


「……カザーネラ……様?」

「そうだよ? ここは魔王であるカザーネラ様の治める地。でも安心してね。そっちから攻撃してこない限り、こっちからも攻撃しないから」

「そう言う風にいわれているのでな。攻撃するものはわかりやすく武装しているからすぐわかるとも」


親の方からもそう言われ、英雄達はただ呆然としているだけだった。





  英雄達の戸惑い。そしてフルカネルリの教え子達。





 




【名前:トマク=トマホーク

Lv:28226

性別:男

種族:人間

年齢:22


HP:65321497

MP:85236

攻撃力:342568

防御力:284568

敏捷度:54256

魔力:6552

運:6244

機動力:21×3


通常スキル


斧:Lv9

体術:Lv7


特殊スキル


斧の英雄:戦闘時のみ発狂。攻撃力大上昇・防御力中減少


          】



名前:ベルト=ハルベルト

Lv:28550

性別:男

種族:人間

年齢:19


HP:66275369

MP425625

攻撃力:385663

防御力:279959

敏捷度:69958

魔力:6500

運:5897

機動力:22×3


通常スキル


槍:Lv9

体術:Lv7



特殊スキル


槍の英雄:戦闘時のみ発狂。攻撃力大上昇・防御力中減少


          】




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