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2-5

およそ一話=一月の話です。



例外は多々ありますがね。


 

フルカネルリだ。この学校の行事は妙に多いと思うのだが、どう思う?

《まあ、五月に一、二年生遠足+五年生修学旅行、六月に三年生社会科見学、七月に四年生林間学校、六年生修学旅行、九月に運動会で十月に文化祭、十二月には希望した人はスキー合宿で一月になったら書き初め大会、二月には豆まきがあって三月には卒業式と、何もない月が十一月しかないもんネー》

そうだな。

……それと、書き初め大会の優勝賞品は餅が十七キロらしいぞ?

《マジ!? それちょっとほしいかもしれないヨー!?》

そうか。ならば少し狙ってみるか。

《ありがとネー》

なに、気にするな。


と、言うわけで遠足に来ているのだが、周りの皆の体力の無さには少々驚いた。

《いや、フルカネルリの体力が多いんであって他の子達の体力は普通だヨー?》

そうなのか?

《そうだヨー》

そうか。

白兎は普通についてきているからこれが普通だとばかり思っていた。

《ざーんねん、違うんだナー》

そうらしいな。よくよく見てみると他についてこれている者は数人しかいないし、私達がおかしいのだろう。

《そのおかしい組のトップはフルカネルリだと思うけどネー》

私もそう思うよ。

「…瑠璃ってすごいよねー」

「? なんだいきなり」

「だって、そんなにおっきな荷物持ってるのに何でもないように歩いてるんだもん。……何はいってるの?」

白兎が言って来たのは私の背負う鞄。別に大したものははいっていないのだが……。

《なんか三十キロぐらいははいってそうだよネー》

はいってるぞ、三十キロ。

《はいってるノー!?》

ああ、はいってる。

「大したものではないが、塩と胡椒と唐辛子と砂糖とソースと醤油と山椒とにんにくパウダーとターメリックとカレー粉と酢と弁当と水がはいっているが?」

「何でっ!?」

「使うことがあるかもしれないからだ」

あるよな? 

《な、ないんじゃないかナー?》

そうか?

……まあいい。

「あとはレジャーシートと筆記用具とラー油だ」

「そこでラー油!?」

何か問題でもあったか?

《ないけど、どうかと思うヨー》

そうか。まあ、どうでもいいな。

私の鞄の中身はそんなものだ。あとは本。

「……あー、瑠璃? それ、なに?」

「本だが」

白兎の問いに即答する。うむ、何もおかしいことはない。

「……遠足に持ってくるような本には見えないんだけど………」

「そうなのか?」

「……やっぱりわかってなかったんだね」

遠足に本を持っていってはいけないという話は聞いたことがないんだが。

そう思いつつ、私は今読み終えた大判のハードカバーの本を背中の鞄に一気にしまいこみ、次の本を取り出した。

「いくつ持ってきてるの!?」

白兎が驚いているようだが、私は構わず返す。

「精々十五だ」

「それでも多いよ!?」

そんな話をしながら私と白兎は歩き続けていた。






仲良く歩いているフルカネルリとそのお友達をのんびりと見ながらボクは思う。

後ろの方にはクトちゃんがついてきてるけど、あの子は貧血ぎみだから倒れちゃわないかちょっと心配だナー。

ちょい、と後ろを振り向くと……ほら、やっぱりネー。

「……きゅう」

「し、しっかりしろ!クト、クトぅぶれるぅあっ!?」

「貴方はもう黙ってなさい!」

クトちゃんが倒れてクトゥグアが焦って叫んでアブホースがそんなクトゥグアをぶん殴って止めている。

昔ならここでボクが止めるんだけドー、今はアブホースも手加減しながらぶん殴れるみたいだし、ほっといてもいいかナー。

「っ……てぇな!おい堅物女!いきなり何してくれやがる!」

「うるっさい!っ言うか貴方は副校長でしょうが!さっさと学校にもどって仕事してなさい!」

「もう終わったよ!俺はクトのためならナイアのやつに頭を下げることだってできんだよ!あのくらい余裕だね!」

………え? あれ、おかしいナー? クトゥグアがアブホースを言い負かしそうになってるなんテー……夢かナー? 夢なのかナー?

「っ……また貴方はクトちゃんのことばっかり……たまには……」

「あん? なんか言ったか?」

「っ! 何でもないわよ!」

……アブホースが………自分の気持ちを……クトゥグアの前で言っているなんテー………………。

うん、きっと疲れてるんだなボク。そうだよそうに違いないと言うかそうであってください本当ニー。

「あ、フルカネルリ? ボクちょっと寝るかラー」

それだけ言って返事も聞かないうちに布団を出す。最後に使ったのいつだったっけナー?

……まあ、いいや。

オヤスミー



  ありえない現実から目をそらしたナイアのとある午前十時ごろ

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