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異世界編 3-19

……

 

フルカネルリだ。検体二号と三号の仕事は見た。これだけで十分な牽制にはなるだろう。役目は果たしたな。


「ありがたき幸せでございます」


まあ、あれが相手ならば当然とも言える結果だな。これでもっと強い者を用意してくれればいいんだが。


…………そうだな。神族に協力させて、人間やらエルフやらと言った人語を解することが可能な種族をまとめあげて貰おう。

恐らく無駄にプライドの高いエルフやドラゴンは自分達から人間と協力しようとは思わないだろうから、神族の方から話を持っていってもらえば少しは考えるだろう。頭は固いが馬鹿ではないはずだしな。

とりあえず、今年の分はそれなりに削り終わったし、後は様々な種族から削っていくとしよう。


まずはエルフ。力強くで目の前で長老の子供あたりを拐ってやろう。殺すと言ったが、わざわざ殺さなくとも名前を変えさせてから実験体にしてやれば誰もが死んだとしか思わないだろう。

それからドラゴンに、ドワーフに………ああ、仕事が多いな。


ドラゴンは確か血筋を重要視していたから、末端の子を拐おうが殆ど無視されてしまうに違いない。ここは竜神王の長男が長女……とにかく実子を拐うべきだな。

そしてこちらも当然研究対象だ。実験体は多ければ多いほど良い。


エルフの方はともかく、ドラゴンの方には私が直接行こう。当然仮面をして正体を不明にしてだが。

だが名乗りをあげるのは忘れちゃいけないな。そうでなければ敵対感情を煽ることができないし。


《……最近のフルカネルリっテー……すっごい外道だよネー?》

『……そうねぇ………元の世界に戻った時に、元通りの生活ができるかぁ………不安だわぁ…………』


言っただろうが。外に出していないだけで、私は元々こう言う思考回路をしているのだと。外に出さなくすれば全く変わらんよ。


『………それはそれでぇ……人間的に大丈夫か迷うところよねぇ………?』

《そうだよネー……》


確かに人間的に不味いかもしれないが、元々人間失格なんだ。問題ない。


《…………ならいいんだけどサー》


そうか。






とある日のこと。神々の住まう天上界と地上を繋ぐ巨大な山脈に、魔王カザーネラの魔の手が迫った。


竜達は雄も雌も関係無くカザーネラに戦いを挑んだが、誰一人として殺されることなく無力化された。


「お前達はそこで見ていろ。大切な王子様が私に殺される所をな」


竜神王はカザーネラに、強力な光のブレスを吐きつける。

しかし、人間どころか並の竜ですら師団規模で消し飛ばせるブレスが直撃しても、カザーネラは平然とブレスを抜けた。


そして竜神王を大地に叩き付け、見えない鎖で強制的に動きを封じ込めた後に、カザーネラは竜神王の息子と娘である幼竜に近付いていった。


「待て!待て!!やめろっ!!その子達には手を出すなぁッ!!」


重力の鎖に捕らわれた竜神王が叫ぶが、カザーネラはその言葉を無視して進む。


そして、いまだに眠っている二頭の幼竜の片方を抱き上げて言った。


「……‘やめろ’? ‘手を出すな’? …………随分と態度が大きいとは思わないか?」


そう言いながらカザーネラが撫でるのは、竜神王の愛し子である、妹の方の首。

その首にゆっくりと手を這わせ…………そっと掴む。


「……細い首だな。少し力を入れたら、簡単に折れてしまいそうだ………それで、お前は随分と態度が大きいと思うのだが……どうだ?」


仮面に隠れているその表情は見えないが、あからさまに竜神王を嘲笑しているということがわかる雰囲気で、カザーネラはまた竜神王の娘の首を撫で始めた。


「……ああ、当然だがこの娘が起きることは考えない方が良いだろう。今も私が安らかに眠らせているからな」

「ぐ………貴……様ッ!!」


憎々しげに吐き捨てた竜神王の言葉に、カザーネラは僅かに雰囲気を変えた。


「……なるほどな。つまりお前は、一匹殺されてからでないと話もできないような畜生だったか」


カザーネラがそう言うと、竜神王の娘を抱いている手とは逆の手に、魔力でできた光刃が現れた。

それはあまりにも多く、いくら魔力に対する耐性が高い竜族、その中でもさらに高い耐性を持つ竜神王の直系であっても耐えられるものではないように思えた。


「ま、待て!いや、待ってくれ!!」

「……もう一声欲しいところだな。……待って『下さい』、『お願いします』。………だろう?」


カザーネラは眠り続ける竜神王の娘の鱗に、光刃をゆっくりと滑らせた。

美しい純白の鱗に、一本の切り傷が入る。少しずつ光刃は進み、肉を切る寸前で竜神王の叫びがそれに待ったをかける。


「お願いします!待って下さいっ!!」


ピタリ、と光刃が動きを止め、カザーネラが仮面の顔を上げる。


「………そうだな。ようやく羽があるだけの蜥蜴らしい口調になったじゃないか」


そう言ってカザーネラはさっと光刃を竜神王の娘の首から離し、


「だが、断る」


ばつん、とその首をはねた。

焼き切られたのか、その首からは一滴の血も出ずに、剥製の首が落ちたように変わらない。


「私は言ったはずだ。知識のある全ての中から、千人に一人を殺す、と」


指先から飛び出している光刃を消して、カザーネラは竜神王の娘の死体を持ったまま背を向ける。


「それでは、次にお前達の誰かが選ばれた時にまた会おう。竜神王。…………ああ、それとこの死体は貰っていくぞ?」


カザーネラはそれだけ言い残して消えた。瞬間に全ての竜を押さえ付けていた重力の鎖は力を失ったが、だからと言ってなにができると言うわけでもない。


闇色に覆われた空が晴れ、魔王がいなくなったことを示すが、竜族の心には、灼熱のような憤怒と氷のような殺意しかなかった。






  ドラゴンに伝わる伝承、‘竜族の悪夢の日’より。





 

竜神王のステータス↓





名前:ラグディア

Lv:1320/1480

性別:男

種族:竜

年齢:2588


HP:5200000

MP:4800000

攻撃力:8521

守備力:6993

敏捷度:5651

魔力:7266

運:30

機動力:18×3


スキル

炎属性ダメージ軽減

光属性ダメージ無効

物理ダメージ軽減

魔法ダメージ軽減

闇属性ダメージ増加


保有属性

光Lv:9


特殊スキル


人化

逆鱗





          】


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