異世界編 3-17
フルカネルリだ。あれから二百年が過ぎた。そろそろ計画を始動しても良いだろう。
この世界の神は二割が結界に弾かれて死に、一割が結界に飲まれて死に、三割が堕天してこちらについて四割がこっちに直接の手出しをしないからこっちに攻撃しないでくださいという事を言ってきた。力関係のことはよくわかっているらしく、態度は丁寧だった。
こっちとしては出してくれても一向に構わないがな。研究体として優しく解体してやるぞ?
《解体すのに優しいもなにも無いと思うんだけどナー?》
麻酔なしの意識ありでチェーンソーを使って解体されるのと、麻酔ありかつ意識なしでメスを使って解体されるのは………随分違うと思うのだがな?
《ボクが悪かったヨー》
そうだナイアお前が悪い。と言うことで後でじっくりねっぷりと隅々まで見させてもらうからな?
《言い方がおやじ臭いよフルカネルリー?》
………ほほう。つまりお前は本当に隅々まで余すところなく見られたいわけか。服は剥かないつもりだったが、そう言われたら仕方無い。剥いてやろうじゃないか。
《ごめんなさいマジで勘弁してくださいごめんなさいボクが悪かったですごめんなさいお願いしますごめんなさい》
……仕方無いな。勘弁しておいてやろう。
……さて、世界を丸々ひとつ使った、壮大な実験を始めようじゃないか。
突如としてそれは起こった。快晴だった空も雨雲も、全てが一瞬にして闇色の何かに覆いつくされた。
そして、世界全土に声が響く。
『初めまして、下等なる人間諸君。そして自称高等な知を持つ諸君。私はの名はカザーネラ。これより私は、君達に宣戦を布告する』
膨大な魔力をもってして行われたこの宣戦布告に、人間も妖精もエルフもドワーフも、あらゆる生命が恐怖した。
声は続く。
『安心したまえ。これはただのゲームだ。私はこの場で待っているから、征服しないでほしければ部下達の包囲を抜けてここまで来るといい。それまで私は、年に1‰だけ知性ある生物を殺して行こうではないか。これは人間だけの話ではないぞ? 千人に一人が殺される。それが自身であるかもしれないし、諸君の大切な者かもしれない。期間は諸君が私に完全に屈服するまでとしよう。せいぜい私の暇潰しに付き合ってくれたまえ』
そんなことができる筈がない。そう言いたいところだが、この膨大な魔力を感じてしまえばそれが可能としか思うことができない。
男のものだと思われる低い声がまた響く。
『……だが、もしもお前達が私を打倒した場合、褒美をくれてやろう。莫大な富でも、最強の魔導書でも、無敵の杖でも、絶対の盾でも、不変の鎧でも…………不老でもいい。私を打倒した者にだけ、くれてやろう』
不老不死。それは人間の夢。けして届かないとされてきた、権力者の夢。
それが、あのカザーネラと言うものから直接口に出された。
カザーネラと言うものを倒せば、不老不死になれる。
人間達の脳裏には、ただそれだけが残された。
…………全くもう。フルカネルリってば酷いんだかラー。
勝てるはずのない勝負に挑ませるために、すっごい煽りをして見せたフルカネルリを、ボクはのんびりと見つめていた。
この世界では、確かに人間でも神を打倒しうる。レベルの最大値は決まっていないから、可能性はすっごく低いけどできないことはない。
……でも、今回フルカネルリが言ったこれはかなりのムリゲーだ。
神のおよそのレベルは200くらい。たしかにレベル的には向こうが遥かに上だけど、ステータス的には肉体改造されたフルカネルリの所の『将軍役の研究体八十六号』と同程度。ぶっちゃけ大したことない。
その上数は確実にこっちの方が上だし、成長速度もずっと早い。
フルカネルリに言われて外の人間に協力しているけれど、勝負にならないと言うことはしっかりとわかっているだろう。
ちなみにその協力の内容は、フルカネルリが作った鬼畜ダンジョンの作成者をとある神だと偽ったり、結界を抜けるための道具を作ったはいいがダンジョンと一緒に奪われてしまったということにしておいたりといった裏方のような嘘をつくだけの簡単なお仕事だ。
嫌がった神も当然居たが、ぼこぼこにしてから人間すべてを人質にとって脅迫して言うことを聞かせたり、発狂させて従えたり、洗脳したりしている。洗脳率が一番高い。
……なんだかフルカネルリってばこの世界に来てから鬼畜外道率が上がったような気がするヨー。
別にそれが問題だとか言う気は無くって、ただ単に、鬼畜だなぁ……って思うだけだけどネー。
フルカネルリ以外だったら、人間がどこでどうなろうと知ったことじゃないヨー。勝手にすれバー?
ただ、フルカネルリの大事な人間はそれなりに守ってあげるけドー。
さあさあこの世界の生ける者達頑張っテー!もがいてあがいてフルカネルリに未知の情報を提供しロー!
できないんなら存在価値はないから消しちゃうヨー。神様舐めるんじゃないヨー。
あははははははは!!
邪神はどこまで行っても邪神。