異世界編 3-4
フルカネルリだ。一度町を出てから、もう一度正規の方法で町に入る。私は臆病なので常に解析はかけたままだが。
《臆病っテーwww》
五月蝿い、血液の代わりに血管にマグマを流されて焼け爛れて死ね。
《かなり痛い死に方なんだけドー!?》
だろうな。そういった死に方をチョイスしているし、当然だろう。
……だが、嘘はよくない。別にその程度で死にはしないだろう?
《死にはしなくてもその死に方をしたらすっごい痛そうだヨー!》
『……ふふふ……♪ ナイアなら、大丈夫だと思うけどぉ………?』
入り口のところで簡易的な身分証明書を渡さた。これがあれば、この町の中で買い物ができるらしい。逆に無ければ衛兵を呼ばれるらしいが。
……一度入った時に何も買わないでおいて正解だったな。そういったところがあるかもしれないと思っていたが、正しかったな。
……さてと。世界のレベルを見るには、まずは武器を。そして、あるなら学校で教えられている内容を知るのが手っ取り早い。
特に学校は分かりやすいように教えられている(一応、そのはず)なので、利用しやすくて良い。
こう言った中世のような時代では嘘を教えているところもあるためすべてを信用することはできないが、少なくとも常識を学ぶことはできる。便利な場所だ。
この町にはどうやら学校に当たる場所が無いようなので、とりあえず売られている武器を見に行くことにする。
武器を見れば科学がどのあたりまで進んでいるかわかるし、魔道具……いや、魔導具を見れば、どのくらいの魔導師が居るかもわかる。魔導についても理解を深めることができる。悪いことなど殆ど無い。
…………ついでに、そこらにあった砂鉄を集めて純化して炭素を混ぜて作った長剣を売りに行こう。店に入ってなにもしないで出ていくと言うのは相手の気分を悪くさせるしな。
と言うわけで簡単に作ったものを持って行ったのだが、かなり良い値段で売れた。どうもこう言った武器は上等であればあるほど多くの魔導言語を刻んでやることができるらしく、私の作ったそれはその点については大したものらしい。
魔導は使えるものが少ないためかそういったことはあまりされないが、上等な武器はそういったところとは関係なく人気があるそうだ。
……まあ、この町では大した事は危険はないようだったが、この町以外では危険も多いだろうし、当然か。
……ちなみに、初めのうちは姿からかなり舐めた思考をしていたし、剣についてもかなり悪どく買い叩かれそうになったが色々と話をして、正規の値段で買い取り願ったら嬉しそうに何度も頭を縦に振ってくれた。
…………優しい私は特に酷いことはしていない。ただ少しお話をしただけだ。
『もしもこうやって騙そうとしたという噂が広がってしまったとして、そんな噂のある店で買い物をしようとする人は居るかな? 今はここしか武器屋はないから良いかもしれないけれど……もし、誰かが店を開いて客を集めてしまったら……どうなるかな?』
……と。
暴力で終わらせてしまっては、それはただの強盗だ。こうして『お互い』納得ずくの『商談』にするのは、知識がなければならない。
その結果で相手は嬉し涙を流しながら買ってくれたわけだ。
…………まあ、運が悪かったと思って忘れてもらおう。正規の値段であっただけマシというものだ。
ぼったくらなかったのだから、本当に私は丸くなったな。
《その点については同意かナー。昔はすごかったもんネー?》
『……残虐、ここに極まれりぃ………って、ねぇ……♪』
……そこまで酷かったか? 精々国ひとつを消し飛ばすとか、王宮御用達の井戸に水銀を混ぜてやったとか、ゾナハの病風を吹かせたりとか……その程度だぞ?
《十分外道で鬼畜で悪魔だヨー》
そうか。なら今度から少し気を付けよう。派手さは抑えて、瞬間転移で内蔵のみを抜き取るとか。
《キャトルミューティレーショーンっ!》
『………あぁ……確かにそうねぇ……』
……私はなにか変なことを言ったか?
《言ってないんじゃないかナー?》
そうだよな。
……さて、時間もまだまだあるし、どうせならこの世界の魔導学校に行ってみるというのも面白いな。もしも名指しで王宮に呼ばれたりしても断るが。
なにせ王宮と言えばディオの感じた通りの隠謀渦巻く七面倒な所。そんなところでは保身のために私の研究の邪魔をするものも出てくるだろうし、第一私は他人の命令を聞くのが大嫌いだから団体行動というものが苦手だ。
……私は未知を既知にできればそれでいいと言うのに、なぜわざわざそれを利用して面倒なことに引きずり込もうとするのやら。
…………まあ、いいか。邪魔をするなら滅ぼせばいい。前に立ち塞がるなら蹴散らせばいい。
幸いにも力には恵まれている。大体のことはできるだろう。
だがナイアが居るように、この世界にも私より強い者が普通にいる可能性も
《今のところは無いヨー》
今は無いらしい。しかし今はそうだと言うだけだ。
私より強いものは普通にいると考え、私より強いと言質を取ったものには本気で向き合い、殺し合いの時は相手のステータスや思考を読むなどして万全の状態で挑み、決闘等は受けないことにしよう。面倒だしな。
対戦相手に死亡フラグ乱立のお知らせ。