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フルカネルリだ。今日は楽しい雛祭り……全く楽しくない。雛霰は美味いがな。


《ポリポリ……美味しいネー。なんかたまに食べたくなる味だヨー》


確かに、そんな高頻度で食べたいとは思わないが、たまに無性に食べたくなる。カップラーメンやスナック菓子と同じだな。


『…………(ポリポリ)』


……美味いか?


『……えぇ……♪』






久し振りの同窓会。裕樹さんと一緒に、地元の友人がやっている居酒屋まで歩く。


「いや哀華。あそこは居酒屋じゃないよ?」

「居酒屋でいいわよ。私達はほとんどそういう風にしか使ってないんだし」


私が言うと裕樹さんは苦笑いして頷いた。


「そうだけどさ…………あ、見えてきたよ」


視線を向けるとそこには、久しぶりに見る友人たちの姿が。


「やっほー哀華。元気してたー?」

「もちろん元気よ。裕樹さんも……ね?」

「……けっ。爆発しろリア充め」

「あらぁ? みっちゃんにも春が来たって聞いたんだけど?」

「ッ!? だ、誰から!?」

「ひろくんから電話があったわよ? よかったじゃない。これでみっちゃんもリア充の仲間入りね♪」

「……あ……のっ……馬鹿が………っ!」


あらあら怒っちゃった。ごめんねひろくん、頑張って?


ちらりと視線を向けると、裕樹さんも懐かしい顔の所に挨拶にいっている。肩を組まれたり叩かれたり、リア充爆発しろと言われたり。

……あら、私とおんなじこと言われてるわね。


お揃いね♪


「…………変われば変わるもんだな。あの冷血女がこんなんなっちゃうとは……愛ってのは怖えや」

「そんなものよ、みっちゃん。みっちゃんだって丸くなったじゃない。具体的には私と弓で勝負してぼろ負けになったからって弓を長物みたいに使って喧嘩なんてしてこないでしょ?」

「今まさにやりたくなったそコラ」

「あらあら、それでも負けちゃったみっちゃんが、ずいぶん大きく出てくるわねぇ………」

「………あん時の私と今の私を同じに見てると痛い目見るぞ?」

「………………へぇ? なら、試してみる?」

「は!飛び道具持ってない哀華なんざ、私の相手になるわけねえだろ」


私とみっちゃんはお互いにきつい目で見つめあって…………


「……ぷっ!」

「……ははっ!」


「「あはははははは!」」

同時に吹き出して、笑い始めた。


「いやーあははは、やっぱ哀華との掛け合いは楽しいわ!」


みっちゃんが笑う。私も笑う。


「あははは、ほんと、懐かしいわね。あはははは!」


私達は笑いながら店に入る。すぐに裕樹さんも入ってきて、私達に貸しきられている座敷に座る。


さあ、それじゃあ始めましょうか。

私達の、同窓会を。




小学校から大学まで。ずっと私達は一緒にやって来た。その長さの分だけと言うのはおかしいかもしれないけれど、私達の同級生は仲がいいことが多い。

大抵はクトゥグア先生が持っている企業かクトゥルフ先生が持っている病院に勤めることになる。もちろんそれ以外の道に進む人もいるけれど、それでもあまりこの町から離れたいと思う人はいない。

そのためこの町は、ある意味では一つの国家のような物になっている。


……まあ、私にとっては裕樹さんと瑠璃ちゃんと、三人で仲良く暮らせて、たまにこうやって友達と集まって騒いだりできればいいんだけどね。


「うえぇぇぇん彼氏がほしいよぉぉぉ!!哀華ぁ何とかしてかっこいい彼氏をくれよぉぉぉ!!!」

「……そんな無茶な…………」


……ああ、裕樹さんはあげないよ? 取ろうとしたら脳天ブチヌク。


「哀華ぁぁぁって怖っ!? 酔いがまとめて消し飛ぶくらい怖っ!?」

「……裕樹さんに手を出したら………(キリキリキリ……)」

「出さない出さない出さないから矢をつがえてあるボーガン下ろして!」

「みっちゃんの心臓に向けて?」

「ちげえよ!? な、南雲っ!お前の妻が暴走してんぞ助けろマジで!」


うふふふふふふふ…………ど・こ・か・ら・ぶ・ち・抜・こ・う・か・な~♪


「こら哀華。駄目だろうそんなものを人に向けちゃ。向けるときは大切なものを守るときだけで十分なんだから」


優しく私を抱き締めて、裕樹さんはそういってくれた。

それを見ていた周りからは、口笛や囃し立てる声がする。


……まあ、いつものことね。




  同窓会ではこの程度の暴走はいつものこと。




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