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フルカネルリだ。体育祭がなくなった分、文化祭に力を入れているところが多い。
そんな中で私はと言うと、結晶樹の枝から部品を削り出し、組み合わせて作ったオルゴールを出展した。ちなみに流れる曲は最近私の大陸で流行り始めた音楽だ。題名のない曲だが、中々に良い曲だ。
《作者はとある音楽家だヨー。本人はもう死んじゃってるけドー、その子供たちが歌ってるのを聞いて流行り始めたんだってサー》
そうか。よくそこまで詳しく調べたものだな。流石はナイアだ。
「…………瑠璃ってさ……時々ほんとに小学生なのか怪しくなるような行動をするよね」
「もうすぐ中学生なのだから、普通だ」
「そっか!もうすぐ中学生だもんねってそんなわけないよね!?」
ノリ突っ込みか。私が異世界に居る間に随分と変わったらしいな。三秒だが。
《固定で三秒だけだネー》
『……三秒だけよねぇ………あははははっ♪』
……これはまた妙に楽しそうだな、アザギ。
『……ふふふふっ……♪ ……お祭りはぁ……楽しまなくっちゃねぇ……?』
教室ではなぜか私の作ったオルゴールの曲が延々と流され続けている。そしてその曲を聞いた者達はぼんやりとした目でオルゴールを見ながら立ちすくんでいる。
……なんだ、いったい何があった?
《……うーん……多分ネー、魔力に当てられちゃったんじゃないかナー? 普通のこの世界の人なら平気なんだろうけドー、クトちゃん達のお陰で魔力を持ってる人が多いからネー》
…………物質的ではない存在である魔力はこの世界の人間には無意味……何故なら魔力を欠片も持たないため、魔力によって体内の魔力をバラバラされてしまうこともない。何故ならバラバラになる魔力自体が無いから。
しかしこの場に居るのはクトの学校に在籍していた者達なのだろう。能力として体内に魔力が存在しているそいつらは、魔力の影響を僅かにだが受けるようになる、と。そういうことで良いのか?
《そうだネー、だいたいあってるヨー》
そうか。……ならば、オルゴールは片付けた方が良いか?
「だめっ!止めさせないよっ!」
……何故クトがそれを言うのだろうか? そして何故止められなければならないのだろうか?
「大丈夫だから!影響とか私が押さえるから!ね?」
「……わかったわかった、やってくれるなら問題ない」
「よっし!」
なぜか片付けようとしたら止められた。どうやら相当気に入ったらしい。
……まあ、クトが何とかすると言っているのだから、それで良いか。
なんだか久し振りな気がする白兎です。きっと気のせいだと思っているけど、本当はどうかな?
……そんなことはいいや。とにかく今は文化祭を楽しまなくっちゃ。
瑠璃と一緒に仮装をして学校を回る。みんな思い思いの格好をしているから目立たないけど、確かに私達はここに居る。
色々なものに興味を示す瑠璃と私は、見る人が見れば仲の良い姉妹に見られると思う。主に身長とおっぱいの関係で。
……瑠璃は私と同い年だよね? 何でそんなにおっきいの?
じぃ~~、と見つめていると、瑠璃に優しく叩かれた。怒っている様子はなかったけど、どことなく責めるように
「セクハラだぞ」
って言われた。可愛かった。
白兎は変態淑女に進化した?
え? してないよ? 変態だったとしてもそれはきっと変態と言う名の淑女か愛の暴走だよ?
「先生それは十分変態だと思うなぁ?」