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異世界編 2-85

 

ディオさんとの新婚旅行二日目。朝起きるとディオさんが目の前にいました。

ふらふらっと吸い寄せられるようにキスをして……後ろからの視線を感じて振り向くと、そこにはこちらに気を向けていない赤牙さんと、私達に興味津々の子供たちがいました。


「……流石の私でもこのような所で始めようとは思わないのだが?」

「ひゃあっ!?」


ディオさんを見てみると、いつもと変わらない顔で私を見上げています。


「…………えっと……もしかして、起きてました?」

「ああ。ナギ殿の寝顔を観察していた。百面相のようでなかなか面白かったぞ?」


私は、顔に血液が集まってくるのを感じました。顔も耳もすごく熱いです。きっと相当赤くなっているに違いありません。


そこでふと思いだし、結晶獣の子供達の方に顔を向けてみる。


「……見てた?」


子供たち全員が、肯定するように頭を縦に何度も振っています。

……気絶したいと思ったのは、ディオさんに修行をつけてもらった初日以来です。


ちなみにその初日ですが、軽い木製の剣を形に気を付けてひたすら振り続けると言うことをやりました。初日なのでまだ私の体はあまり強くはなく、それでも五時間振り続けて休憩を貰ったと思ったら五分で今度は模擬戦闘をディオさんと。

……あれは正直に言って、恨みましたね。今思い出しても胸の内からこう黒いものが湧き出してきます。


『……うん、きっとそれ憎悪』


そうですか?

……って、


「ウルシフィ? お喋りでいつもいつも必要以上に長台詞を喋っては私達に止められるかそれなりに長く喋らないと止まらないのに、何でそんなに台詞が短いんですか? いつものウルシフィだったら今の台詞に続いて『もしくは殺意じゃないかな? でもディオさんはナギ殿のことを考えてやってくれたわけだし、ナギ殿だってその事を知っているはずだよ? そうだろう?』くらいは続けるはずなのに……」

「ここには風の精霊が常識外れに少ないからな。火口の熔岩すれすれでもここまでは少なくないから、多少弱くなっていても仕方がないと思うぞ?」


ディオさんが種明かしをしてくれました。確かにこの風の精霊の少なさだと、風の力の塊であるウルシフィは辛いかもしれないですね。


……だからって、私と同い年くらいまで若返らなくってもいいじゃないですか。なんですかその胸。千切り取りますよ?


『し、仕方無いだろう? 私だって辛いときはあるんだ……』

「……私から風の魔力を送ってやるからさっさと復活しろ」


そう言ってディオさんがポケットから出したのは、緑色の結晶のような葉っぱ。多分、風属性の結晶の樹の葉っぱなんでしょう。


「……くぅん」

「はい?」


くいくい、と袖を引かれたのでそっちの方を見てみると、赤い結晶獣の子供が私の袖を引っ張っています。

……まるで、遊んでほしいかのように…………。


「あそぼ?」


喋りました。そして勘違いと言う逃げ場がなくなりました。


「あそぼ?」

「あそぼうよ?」

「あそんで?」


……そしてついには物理的にも逃げ場がなくなりました。ディオさんはいま忙しそうですし………仕方ないですね。


袖を引っ張っていた子供を持ち上げ、膝に乗せて撫でてみます。針のような結晶の集まった毛皮をしているようにしか見えないのに、なんだかとっても柔らかいです。


「つぎぼく!」

「ぼくも!ぼくもっ!」

「わたしも!」


なんだか、大人気みたいです。




朝御飯が終わるまで、私はかわるがわる膝に乗ってくる子供たちを撫でていました。

出発しようとした時の子供達の寂しそうな目が、なぜか忘れられません。


「次は白の結晶の森だ。急速に森の色が変化するから、覚悟はしておけよ?」

「はい、ディオさん」


なんの覚悟かはわかりませんでしたが、それはすぐに体で理解しました。


「め、目が見えない!? 眩しくって目が……っ」

「……私は、覚悟しておけと言ったぞ?」


ディオさんが呆れたように私に話しかけてきますが、どこにいるかは全然わかりません。


「……それに、気配を読む修行はつけてきただろうが。上手く使えば地形や動植物の位置もわかるはずだ。この世界の全ては魔力で形作られているのだからな」

「そ、そんなに急に言われても……」


そう言いながらも目を閉じて、気配を感じ取ろうとしてみる。

…………意外と簡単に出来た。確かに植物や動物、そしてディオさんの居る場所がわかる。


「……できちゃいました」

「当然だ。できるように教えたのだから」


そう言いながらディオさんは先に進んでいきます。私はディオさんに追い付いて、そのすぐ後ろを離されないように付いて行きます。


『うん、やっぱりディオさんとナギ殿は仲が良いね。仲良き事は良いことだと思うよ? それと、この森って全体的に眩しいけれど奥に進めば進むほど光が強くなってくるみたいだね。魔力の目で見ないと観光すら楽しめないよ。光だけなら観る事はできるけど』


ウルシフィは復活したとたんにまた軽快に話し始めました。姿も元通り、大きくなっています。ウルシフィは着痩せするタイプの隠れ巨乳のようです。


…………時間が空いたら、たっぷりと苛めてあげたいと思います。





  島巡り二日目。これ以降は同じような流れのためカット。




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