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異世界編 2-73

 

風の精霊王ウルシフィと、炎の精霊王カルシフェルの二人(二体ですかね?)と契約した私と、フルリさんから新しく力を受け取ったらしいディオさんは、なんとこのたび、空を飛べるようになりました。


「……おお。これが空を飛ぶ感覚か。母さんに飛ばされる以外では初体験だ」

「…………あの、それって飛ばされるの前に‘殴り’とか‘蹴り’とか入りませんか?」

「それ以外にも‘投げ’や‘吹き’、‘弾き’が入ることもあるな。唯一の救いは‘消し’だけは今までに入ったことが無いと言うくらいか」


殴りも蹴りも投げも吹きも弾きもまずいですけど、最後のだけは本当に不味いですよね? 蘇生される前に消滅させられちゃったら、いくらフルリさんでも治せないでしょうし。


「―――本当にそう思っているのなら、ナギ殿はまだ母さんの事を知らない」

「……できるんですか? ゼロからの再生……と言うか、再構築を?」

「……母さんだからな」


ちょっと納得しそうになりました。




空を飛べるようになったので、船を使わなくっても大陸間の移動をすることができるようになりました。

と言うわけで、すぐに出発です。目指すのは……どっちでしょうか?


「そのまま真っ直ぐだ。右に行くと炎の大陸に戻ってしまうからな」

『ちなみに斜め左後ろに行くと魔王の住む土の大陸だよ。北の小さな島にアルシフスが居るけど、多分アルシフスは最後にしないと力を貸してくれないと思うよ?』


そうですか。なら、早く行きましょうか。


「急いでもしばらくかかると思うぞ。体力と魔力の配分はしっかり意識しておけ」

「はい、ディオさん」


私達は空を飛ぶ。水の精霊王のいる風の大陸を目指して。

……やっぱり、グライダーと一緒に使った方が楽ですね。自分の体重の事をあんまり考えないで済みますし、それに速いですし。


『あははは、やっぱりこうして空を飛ぶって言うのは良いね。最近の私にしては珍しく普通の意味で気持ちがいいよ。最近はあんまりこうして高高度長距離高速飛行とかしていなかったし、それにすぐそばにディオさんとナギ殿が居るっていうのも嬉しいね』


サノカッキに行くときに飛んだと思っていたのですけれど、どうやらウルシフィにとってあれは高速でも高高度でもない長距離飛行という扱いになっているようです。

まあ確かに、風の精霊王(一応)のウルシフィにとってはあのくらいの速さは速いうちに入らなくてもおかしくはないですね。変態ですけど。






生身による飛行は母さんによる弾道飛行(強制)以外には初めてだったので少々期待していたのだが、やはり母さんが昔私の目の前でやって見せてくれた飛行魔術には及ばないようだ。

……と言うか、あれはもう魔術では無いと思うのだが……。


たしか母さんは、風を使わない飛行魔術を使いながら自分にかかっている重力を打ち消し、周囲を結界で覆って風の抵抗を無くして自分にかかる加速度を身体強化で耐えていると言っていたが、私はそれを真似することはできない。

なぜなら、私が同時に使える魔術は三つまで。飛行魔術を使わなければ飛べないし、重力を消さなければ高速飛行はできない。結界を張らなければ目も開けられないだろうし、加速度を無視すれば弾けてトマトジュレ(人肉風味)だ。何度か死んでいるとはいえ、わざわざ私から死にに行きたいと言うことはない。

私はウルシフィとは違うのだ。


『私も死にたいとは思わないよ? ただ、死ぬ寸前まで追い詰められて生殺与奪を握られているっていう状況には多少興奮するけどね。そうだ、ちょっとやってみてくれないかなディオさん』

「やらん」

「先に言っておきますけど、私もやりませんよ」


やれやれ。私もナギ殿もウルシフィの変態発言に慣れてきてしまったな。これも一種の洗脳か?




日が暮れたので、一度降りて今日の移動を終了する。周囲を見回して魔物がいないことを確認してから結界を張り、テントを組み上げる。

ナギ殿もかなり慣れてきたようで、私が指示をしないでも手際よく作業を進めている。


「テント張り終わりましたよ」

「そうか。食事の準備もできているし、食べはじめようか」


私とナギ殿は、こうして水の大陸での最後の夜を過ごしたのだった。




また日は昇り、朝焼けが目に染みるほど眩しく見える。黄色く見えるわけではない。ただ寝起きの目が光に慣れていないだけだ。

腕の中で眠るナギ殿を起こさないように体を起こし、テントの外に出る。まずは、いつも通りの柔軟と魔力の体内周回をして目を覚まそう。朝食を作り終わる頃にはナギ殿も起きてくるだろう。






  横から見ているとどう見ても恋人。





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