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異世界編 2-72

 

熱血馬鹿ルシフェルこと炎の精霊王カルシフェルと戦闘をすることになった。

…………なったのだけれど、ちょっと風の魔術で熱を遮断する結界を張って圧縮したら降参してきた。予想以上に早くって驚いた。


『……ちくしょう、こいつほんとに人間か? 今なら人型なだけの化物だって言われても信じられるぜ……』


化物とは酷いですね。私は普通の人間ですよ。少なくとも、ディオさんやフルリさんほど人間辞めてません。


…………多分。


『あはははは、何を言ってるんだか。ナギ殿ももう十分化物の域に入ってるのにさ。普通の人間はこんな真似はできなごふっ♪ ひゅ、こひゅ……♪』


なら言い方を変えます。私は普通ではないにしろまだ人間です。ただ、ちょっとばかり異常なだけです。


「ちょっとか? 正直、私のそれなりに本気の剣速についてこれる人間は知らないのだが」

「ほう? ディオにある程度とはいえついていくことができるのか?」

「まあ、今までに数度しかやっていないが、一応訓練として」

「成程。人間とは思えんな」


やかましいです。私は人間なんです。誰が何と言おうと人間なんです。


『あぐぅ♪ 背中と首がぁ……♪』




炎の精霊王との契約を終わらせ、さっさとツェセム火山を下りる。こんな暑い所にずっと居たくはないですし。


「……次はどこに行くんですか?」

『風の大陸の魔の森にある、それなりに大きな湖だよ。そこにマルシファーが居るんだけど、魔の森って色々危ないから気を付けないと駄目だよ? なんか服だけ溶かしてくるような触手とか人食いとか大きな猪とかたまに修行のために篭ってる武芸者とかも居るからね』


武芸者って……。魔の森に入って平気なんですか?


「いや、大抵死ぬと聞いたぞ? 私が入った時も何度か死にかけたしな。毒のある植物が怖いと知った」

「入ったことあるんですか!?」

「……修行の一環で、少しな」


そう言ってディオさんは空を見上げる。つられて私も空を見上げてみると、なぜか寒気がする笑顔をしたフルリさんが浮いているように見えた。

…………ああ、なるほど。御愁傷様です。


ちなみにフルリさんは下山後に別れました。どうもディオさんが珍しく執心を見せた人がいるので見に来たんだとか。

……つまり、私ですね。本当は少し戦ってみたかったそうですけれど、私が全力でお断りしたので残念そうにしていました。そのあと、なにか私に術式を書き込んでいましたが、ちょっとした目印だそうです。いったいなんの目印なんでしょうか?


「母さんの考えることは理解できんよ。理解できるものは、母さんただ一人だ」

「その点については完全に同感ですね。フルリさんを理解できちゃったら、何と言うか人間失格って気分になりそうですし」


と言うか本当に人間を辞めないとわからないような気がします。まずフルリさんって本当に人間かどうかも怪しいですし。


「自称は人間だぞ。実際はどうか知らんが」

「……もし人間じゃなかったとしたら、ディオさんは少なくとも半分は人間じゃないってことになりますよね?」


そう聞いてみると、ディオさんは不思議そうな顔をした。


「……私、なにか変なこと言いました?」

「ああ」


すっぱりとディオさんは言った。いったい今の言葉のどこがおかしかったんでしょう?


「私と母さんは血が繋がっていない。私は拾われ児だ」

「あ……」


いきなり爆発した地雷に、私の思考能力が根こそぎ吹き飛ばされる。確かに、黒髪のフルリさんから金髪のディオさんが産まれるのは遺伝的にちょっと難しいし、父親の事は一度も聞いたことが無かった。けれど、まさかそんな事情があったとは思ってもみなかった。

いったいどんな事があってディオさんはフルリさんに拾われることになったのか、ちょっと興味があったけれど、いくら私でもそれは聞くことができない。

きっとその事をディオさんは知らないだろうし、知っていたとしてもあまり話したいことではないと思うから。


「いや、特に私は気にしていないぞ? 私と母さんに血の繋がりがあろうとなかろうと、私と母さんは親子だからな」



……あら、全然気にした様子が無いですね? 私の気の回しすぎでしたか。

まあ、これが原因でディオさんと仲違いすることになるとかそんなことが無くってよかったと言えばよかったんですけどね。






  気にしないでいいところは本当に気にしなさすぎるディオと、それに振り回されるナギの掛け合い。




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