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異世界編 2-67

 

ディオさんがぐちゃぐちゃになりながら空を飛んだ―――と、思ったら元通りになっていた。これはきっとフルリさんに原因があるのだと思います。

具体的には、やり過ぎたからすぐさま治した、とか……?


…………けれど、もしそうだとしたらやり過ぎ過ぎだと思います。ディオさんって、私の知る限り今まで何があっても怪我らしい怪我をしたことなかったんですよ? それこそ、狼に噛まれようが剣で斬りつけられようが……。


……………もしかして、ディオさんが自分の事を強いと思えなかったり、自分より強い相手がいて当然と思っているのって……フルリさんが原因だったりするんでしょうか?

……そんな気がします。ディオさんも、結構苦労してきたんですね…………想像ですけど。


そうして私が綺麗に治ったディオさんを見ていると、その頭の上に急に小さな水の球体が現れ、弾けてディオさんの頭を濡らした。


「ぐ……っ、がほ、ごほっ!?」

「目は覚めたか? 覚めないのなら今度は千倍で行ってみようと思うのだが?」

「……起きたので、勘弁してください」


………うん。苦労してますね。文句の一つも出てこないあたり、きっとかなり昔からそういうことをされていたんでしょう。


……かなり昔から、全身が挽肉になるようなことを普通に?

…………苦労してるの一言で終わらせて良い問題じゃない気がします。




よくよく考えてみると、ディオさんとフルリさんの戦いの後は、私とフルリさんの戦いが待っているんですよね。

…………無理です。勝てる勝てないじゃなくって無理です嫌です拒否します。そして死にます。死にたくないです。生きてお母さんたちの所に帰りたいです。


……すぐにギブアップすれば助かりますよね? 機嫌を損ねたフルリさんがいきなり暗がりから襲いかかってきて挽肉なんて事はないですよね?


「……さて、どうだろうな? 恐らく無いとは思うが、正直に言って母さんの行動は読めないからな。何があっても不思議ではない」

『そうそう。あの黒い少女……フルリさんだよね? フルリさんは本当に何をするかわからないよ? 何て言ったって昔に私達精霊王とこの世界の消滅の危機を救ってくれたと思ったら、今度は急にアリバっさんの神殿に殴り込みに行ってアリバっさんの像に変な術式を刻んで行ったり、魔王軍を真っ正面から堂々卑怯に倒して見せたりと、本当に色々なことをやってきているからね。まさにフルリさんは天災って言う言葉が相応しいと思うよ? ただ、意思があるってところが普通の天災より幾分厄介だけどさ』


棄権しても危ないんですか!? そんなの酷い!


「まあ、恐らく平気だ。母さんはあれで抑えるところは抑えることができているし、加減もうまいからまず死ぬことはない。精々死ぬ寸前(文字通り字義通り寸前)まで追い詰められるだけで済む」

「それは普通は‘だけ’には入りませんよ!?」


私がそう言うと、ディオさんは疲れたような笑顔のまま私を見て言った。


「……ナギ殿は、勘違いをしている」

「……勘違い……ですか?」

「ああ。それも、あり得ないほどに巨大で分かりやすい上、致命的な勘違いだ」


ディオさんは真剣な目で私を見ながら、呟くように言った。


「…………母さんは、けして普通じゃない」


…………………………ああ。確かに。納得した。


ディオさんは私の頭を優しく撫でて、言った。


「大丈夫だ。母さんは一応、興味を持ったものに対してはそれなりに優しいからな」


初めて、ディオさんの言葉を疑いました。






クスクスと笑いながら少女を見ている。風の精霊王にも、フルカネルリの息子にも気付かれないようにしながら、フルカネルリに道を歪められた者達を観察する。

けれど、多少読みにくいと言うだけである程度は読めてしまう。細かいところではボクの予想を外して見せるけれど、大きな道ではボクの予想の範囲内だヨー。

まるで、演じる者が変わった演劇を見ているような気分だネー。


それでもフルカネルリが接触する度に少しずつ外れる幅が大きくなって行く。いつかはこの少女やフルカネルリの息子も、ボクの予想から完全に外れた行動をとるようになるのかナー?


「……そうだったら、面白いんだけどナー?」


まあ、無いだろうけどネー。いくらフルカネルリに関わって歪められたと言っても、それは結局個人を根本から変えてしまったわけでは無いシー。

まったく、高位の邪神がなんだって言うのサー。自分の楽しみすら人任せにするしかない、そんな生き方は好きじゃないんだヨー?

ボクたちはそれでも楽しみを見つけようと生きているけどサー。長生き過ぎるから飽きるのが早いんだヨー。


……まあ、フルカネルリみたいに開けるたびに中身が変わるビックリ箱みたいな人間もたまには居るんだけドー、見つかる可能性はかなり低いんだよネー。

何て言ったって、ボクたちにとって楽しい人間は予測ができない人間だから、ボクたちの力が届かないから偶然に頼るしかないんだヨー。

でも、見付けるにはずっとしたくもない簡単な未来予測をしてないといけないし、やる奴なんてかなりの暇神ひまじんだけだけどネー。


ボク? ボクはかなりじゃなく、相当な暇神だヨー?


まあ、異界の救世主も頑張ってネー。一応応援してあげるからサー。



  暇神カミングアウトしたナイア。




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