一万アクセス記念外伝
一万行ったみたいなので投稿します
これは昔々の話。まだまだナイアが幼くて、あんまり物事を深く考えなかった頃の話。
神立邪神中学校の2年D組の教室にナイアの姿はあった。
のんびりとした空気に少しだけ幼さからの騒気が混じった不思議な空気を纏っているナイアは、特にすることもなく周りで騒がしく話を続けている少年少女達の話を聞いている。
ただ、聞いているだけで理解しようとしていないためだろうが、それらの話はナイアの右の耳から入って左の耳から出て行くような状態だ。
ディン、ドン、ダン、ドーン♪
大きく低くチャイムが鳴り響き、次の時間の到来を知らせる。少年少女達は慌てて自分の決められた席へと戻って行く。
ゴリリリ……、と鈍い音を響かせて扉が開き、金色の髪を持った誰かが顔だけを覗かせて呟いた。
「……自習、騒いだら沈める。監督はアブホース、みんな言うことはある程度聞くように」
そしてその誰かは顔を引いて、ゴシャリと扉を閉めた。
「……はいはい、それじゃ自習よ。お話ししてもいいけど、後のことは自分で何とかすることになるわ」
そう声をあげたのは今監督役を任されたアブホース。少女らしいその姿からは想像できないほど低く重い声で全員を纏め上げようとしている。
だが、それでも騒がしいやつは出てくるもので、一人、また一人とこそこそと小声で話を始める。
そんななかでナイアはというと、周囲とはまるで関係ないと窓の外を見てぼーっとしていた。
「……おいナイア、聞いてるか?」
「………え? 何かあったノー?」
「聞いてねえのかよ!」
いつからかは知らないがナイアは赤い髪の少年に話しかけられていたらしい。
「うん。ごめんネー、クトゥグア」
「ほんとだよ!」
「そこ!静かになさい!」
クトゥグアの大きな声に反応してアブホースが注意する。
「何だとこの石頭が!」
「貴方こそそのうるさい声を何とかしなさい!」
ギャーギャーと騒ぐ二人の姿をナイアは慣れたように見つめている。
そして一言。
「………仲良いネー」
「誰がだっ!」
「誰がよっ!」
ナイアの言葉に口を揃えて怒鳴り返す二人。そしてナイアはそんな二人の事を慈愛に満ちた目で見ているのだった。
ゴリリリ……、と鈍い音が響いて、もう一度扉が開いた。そしてそこから顔を覗かせたのは、
「……アブホース、クトゥグア。……てめえらちょっとこっち来い」
「え゛!」
「ちょ、何で俺たちだけ!?」
明らかにイライラしている先生だった。
「え、だってボク自分の声だけは押さえてたからネー」
「この裏切り者ぉぉぉっ!」
ゴヅッ!
「いいから行くぞ。……アブホース、てめえは大人しくついてくるよなぁ?」
「……はい」
そうして先生は 気絶させたクトゥグアを引きずりながらアブホースをつれて教室を出ていった。
「…………なんだ、クトゥグアのやつはまだ言ってないんだネー」
ナイアはそれだけ呟くと、また窓の外に目をやった。
昔からそれなりに考えていたナイアの中学生時代。(厨二病にはかかったことがない、と言うか元々地で厨二的存在)