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異世界編 2-47

 

『やあ、話は終わったみたいだね? それじゃあ早速契約についての話に入ろうじゃないかあぐっ♪』

「少し空気を読んでください。風の精霊王なんですから、そのくらいはできるでしょう?」


ああんっ♪ この娘も私を殴れるんだねっ♪ こんなにしてもらって私は幸せだよ?


『残念なことに私は風の精霊王であって空気を読むわけじゃないんだよね。むしろ私が空気を支配するから私の要るところでそんな真面目な話を続けようなんて土台無理な話なのさって痛い痛い肩甲骨を押されるの地味に痛い痛い痛いってばぁ♪』


また体が火照ってきちゃうじゃないか。色んな所がとろとろだよ? 頭の中身とか、ってそれは元々か!あっはっは!


そんなことを考えているのがばれてしまったのか、私の目の前にいる‘ディオさん’と‘ナギ殿’の冷たい視線が私に突き刺さる。

確かにあんな良い雰囲気を壊しちゃったのは悪かったかもしれないけれど、これじゃあ私にとってはご褒美だよ?


「……変態ですね」

「そうだな。救いようが無い」


ああんっ♪ こんなに罵倒してくれたのはずっと前の黒髪のあの娘以来だよ♪

悪戯しようとしていた私の手を掴んで地面に叩き伏せてくれたあの娘。今も元気にしてるかな…………?

あの時は怒ってしまったけれど、今考えるとあれは完全にご褒美だったんだよね。


私達を助けてくれたお礼に精霊の加護を与えてみたんだけど、全然使ってくれてないんだよね。

…………ハッ!? もしかして放置プレイなのかな? そう考えたらなんだかすっごくきゅんって来たよ♪


「……何を考えているのかすっごく分かりやすいんですけど、蹴っちゃって良いんですかね?」

「何を馬鹿なことを言っている。変態が移ったら困るだろう。辞めておけ」

「あ、それもそうですね」


あはぁんっ♪ もっと言っておくれ♪






『さあ真面目な話に入ろうかな。私はウルシフィ、この世界で風の精霊王何てものを兼任しているディオさんのペットさ♪』

「お前を飼うぐらいならかびを飼う」

『ああっ、御主人様酷いっ!でもそこがイイ♪』


その冷たい目で見下されるように見られると、ゾクゾクしてきちゃうよ♪


「真面目な話じゃなかったんですか?」

『ああうんそうだよ? 簡単に契約についての説明をしようと思ってね』

「三行でお願いします」


え、三行かい? 中々難しいことを言ってくれるじゃないか。燃えるね。


『それじゃあまず始めに契約をするとどんな良いこと、悪いことがあるかを説明するよ?』

「三行ではやらないんですね?」


だって面倒だからね。私はおしゃべりが大好きだからそれを抑えられちゃうと力があまり出なくなる気がするんだよ。だから私はしゃべるのさ。


『良いことその一。簡単に言っちゃうと魔術の改造ができるようになるよ。ただし改造したそれは自分でしか使えないから魔力とかの操作が難しいし、暴発する可能性が割とあるけどね。良いことその二。魔術を使うときの魔力の消費がちょっと減る。これは嬉しいよね。いままで三発しか撃てなかった魔術が四発撃てるようになったりしたらお得だよね。良いことその三。イライラしたときにいつでもどこでも私を呼びつけて苛めることがおふっ♪』


靴の踵で背中を踏みつけられた。ごりごりという感触が服越しに……って言ってもこの服も私自身だから直接踏まれてるようなものなんだけどね?


うくぅっ♪ それにしても御主人様は風の精霊を苛めるのが上手いね。こうして地面に這いつくばらせて自由を奪うなんて、とっても屈辱的で……ああ、顔に泥が……♪


「それで、他にもあるだろう? さっさと喋ったらどうだ?」

『もちろん喋るよ? 私はおしゃべりが大好きだからね。良いこと四つ目、契約前に比べて魔術の威力が上がるよ。ただ、魔法の方はそのままだけどね? ああ、魔術と魔法の違いはわかるかな? 簡単に言うと、自作したり改造したりしたのが魔法で、君達が今まで使ってきたのはみんな魔術だね。魔力を今まで通りに込めると威力が上がるから、さっき言ったのの見方を変えるとこうなるってことだね。でも私は風の精霊王だからその効果は風の魔術にしか無いよ? 他の属性の魔術や魔法にもこの効果をつけたかったらカルシフェルやマルシファーと契約してね? もちろん私とアルシフスともね。仲間外れは良くないからね』

「黙れ」


そんな理不尽な♪


私がひれ伏したままゾクゾクしている間に、ディオさんとナギ殿はなにかを話し合っている。

聞こうとすれば聞くことはできるそれを、私はあえて意識をはずして聞こえないようにする。


……いやいやいや、私だって一応女だしね。精霊の性別なんて飾りみたいなものだとわかっているのだけれど、それでも恋路の邪魔はできないさ。

嫌いな相手だったらともかく、どちらも好きな相手ならなおさらに。


………それにしても、ディオさんは気付いててああいう態度をしているのか、それとも気付かずにしているのかは知らないけれど、もし気付いててああいう態度をしてるんだったら意地悪だよね。

まあ、多分気付いててやってるんだろうけど。

でも自分の気持ちはわかってないのかな? これでも暇潰しに色々と観察はしてきたからね。ここまで歪んだ人間は久し振りに見たけどさ。


……ああそうだ。どうせだったら二人には幸せになってもらおうかな。アリバっさんは魔王を倒した後はどうなっても関係無いみたいだし、それだったら幸せになってもらった方が気分が良いからね。



  一番優しく一番慈悲深い風の精霊王の心情。




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