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異世界編 2-42

 

今日は魔術についての詳しい勉強だそうです。なんでも人にはそれぞれ使える魔術の属性があり、大抵の場合性格でおおよそわかるそうです。

ちなみに私は落ち着いているところがあるので水の属性が強いのではないかと言われています。

……こういう時は大抵光が強いと相場は決まっているのですけれど…………。




魔力の質を調べる道具に手を置きます。量を調べるものはまた別にあるそうです。

一緒にしてしまえば良いと思うのですが、魔術師団の団長さんが言うには不可能とのこと。できるならやりたいと言っていたので、多分それは本当なのだろう。


………元々炎の属性を持った鉱石で作った武器にに風の魔術を刻めば擬似的に二つ刻んだのと同じことになると思うのは私だけでしょうか?


……そんなことよりも今は私がどの属性を使えるかと言う方が大切ですね。文字通り命に関わりますし。




水晶のようなその道具は一つにつき一種類の属性の適性の有無しかわからないようで、いくつもの水晶に手を置くことになりました。

属性によって色が違うその水晶は、私に触れられると眩しいほどに光輝きます。この光が強ければ強いほど適性があるということらしいのですが………だとすると、私の適性は全てに存在することになりますね。


この結果のお陰で魔術師の皆さんが私を見る目が珍獣を見る目から化け物を見る目に変わったような気がします。

……まあ、一部のマッドサイエンティストが研究対象を見る目よりはずっとましですが。




それからずっと訓練の日々。魔術を覚えたり剣を振ったり、何故か教えてもらえない常識や金銭感覚についてをディオさんから教えてもらったり。

……あと、少し前にディオさんと一対一で実践訓練をしてみた時に思ったのですが……………私がいなくてもディオさんが居れば魔王くらいどうとでもなるような気が…………。


「そのあたりどうですか?」

「……さて、どうだろうな?」


ディオさんは薄く笑うだけで答えてくれませんでした。

そう言えば、ディオさんが質問に答えてくれないのはこれが初めてです。


「……だが、もしそうだったとしてもナギ殿は呼ばれていたと思うが?」


なんでも、この世界では神の言うことは絶対だそうで、神が救世主を外から呼べと言ったら絶対に呼ばなければならないんだとか。


そう言っているディオさんは、少し不機嫌そうだった。


「……ちなみに私の育った大陸では創造神アリバシーヤではなく、ミモリという神が信仰されている。戒律は戦争をせず、一日に一度祈りを捧げるだけという物だ」

「ず……ずいぶん簡単な戒律ですね……」

「本人は面倒くさがりで眠たがりの小さなヤマネとも聞くがな」

「や……ヤマネですか……」


想像してみる。小さな体で巨大な力を持つ、いつも寝ているヤマネを。

………………うわ可愛いっ!撫でてみたいっ!お持ち帰りしたいぃ~~っ!!


「……ちなみに、私でも勝てん」

「……あははは。まるで戦ったことがあるような…………」

「…………」

「……なんで目を逸らすんですか?」


冗談ですよね? 神様と戦ったことがあるとか……冗談ですよね?


「冗談ですよね?」

「…………冗談だったら良かったのだがなぁ……」


…………あ……あははは…………。そうですか。冗談じゃないんですね……。




魔術に必要なものは、集中力と魔力と詠唱。昔見たことのある小説だと、公用語とはまた違う言葉を使うことが割とあったのだけれど、この世界の魔術は公用語でいけるらしい。上手くなれば詠唱無しでも使うことはできるようになるらしいけれど、こっちは失敗することが多くなるみたい。

例えば、同じ魔力で使った魔術でも集中力や想像力が足りないと弱くなったり思い通りに動かなくなったりすることがある。

その上、何故か同じ人が同じ量の魔力で同じ魔法を使っても威力が違うことがあるみたいで、それについては何故かは不明だが最低限の威力はおよそだけれど決まっているらしい。

……ディオさんなら何か知ってるんじゃないかなぁ…………?




聞いてみた。


「ああ、それは一般的には知られていないが精霊と言うものが魔力を受け取っていてだな―――」


本当に知っていた。何で?


「精霊ですか?」

「ああ。それも強いものから弱いものまで様々らしいぞ?」

「……そうですか」


精霊かぁ……どんな姿なんでしょうか?

…………まさか知ってたり……


「いや、流石に知らん。そこら中にいるらしいが、少なくとも私は見ることができないからな」


そうなんですか……。


……あれ? 何かおかしいような…………。






目の前で首をかしげているナギ殿は、島にいた頃に私になついていた小さな結晶の獣を思い出させる。恐らく口に出していないのに答えが返ってきたことに疑問を持っているのだろうが、このくらいならばあの島に住んでしばらくすればみな使えるようになる。

獣達とのコミュニケーションをしっかりとれるようにならないとご近所付き合いもままならないからな。


悩み続けているナギ殿の頭に手を置いて、そのままナギ殿が思考から戻ってくるのを待つ。


……やれやれ。いつまでかかることやら。



  フルカネルリとは似た者親子。血よりも水は濃いらしい。




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