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四十万アクセス記念外伝

 

 これは昔々の話。まだまだナイアが幼くて、あんまり物事を深く考えなかった頃の話。







邪神にも色々な嗜好を持つ者達が居る。

例えばそれは研究だったり料理だったりと実に様々だが、基本的に死んでも死ねないほどの力を持つ最高位の邪神達はその果ての無い寿命を活かした果ての無い物を趣味とすることが多い。

ここにいる者もそうだ。

ありとあらゆる世界の垣根を越えて集めた本を一心不乱に読んでいる。

それは研究書であったり、魔導書の類いであったり、児童書であったり、下らない三文小説であったりと様々であったが、どれも出てくる度に一瞬にしてその男に捕らえられ、一瞬で情報を吐き出し、その内容を咀嚼され、それが終わればその男の興味はすぐさま次の本へと移動する。

わざわざ一つ一つを手に取って読んでいくのは、それがただの暇潰しでしかないからで、暇潰しのために集めた本を一瞬で読み終えてしまうのは馬鹿らしいからであろう。

そんな男のすぐそばに、いつの間にか誰かが立っていた。

「……ナイアか。どったの?」

「ンー、暇潰し?」

「そか。ま、好きにせ」

「お言葉に甘えるヨー。ノーデンス」

ナイアはふわふわと空中に座り、ノーデンスが読み終えた本の山から適当に一冊引きずり出した。

「……ふーん。あの世界のパロディーカー。どっからこんなの見つけてくるのサー?」

「……適当に呼び込んだら混じってた」

「……へー」

会話が途切れる。しかしそれは嫌な沈黙ではなく、ただ話す意味がないから話さないというだけの、本好き同士ならば良く在る沈黙だ。

ぱららら……と、流れるようにページが捲られる音が重複する。

「……人間ってサー、色々と面白い解釈をするよネー」

「……そだな。ワケわからん事もあっけど、基本的に面白い方向から面白いことを考えるかんな」

「何の役に立つのかって事に本気で取り組んだリー、凄いことができることをあっさり放り出したリー……」

「……そんで、無駄なことからオモロイもんを作ってな……」

「そうそウー」

それだけ話して二柱は黙る。ぱらぱらとページを捲る手は止まらない。

「……そう言や、お前、クトゥグアの惚れた女の名前知ってるらしいな?」

「次その話をしたら、いくらノーデンスだって言っても容赦無く虐めるよ?」

「……了解。もー言わね」

「賢明な判断だネー」

……。

「…………で、誰に聞いたのかな? ヨグソトスは多分話さないだろうし、先生?」

「……カマかけたって言ったらどうする?」

「うーん…………………………よし、ショゴスさんにあることないことぶちまけようかナー」

「それはマジ勘弁してくれ!」

「土下座って知ってルー?」

ナイアがそう言った瞬間にノーデンスの姿が消え、ナイアの足元で土下座をしていた。

「……別にやれなんて言ってないヨー? やったってやらなくたってボクがやることは変わらないしネー」

「……え?」

「現在、ボクの分身がショゴスさんの所でお茶してるヨー」

「ちょ、まっ、ごめんなさい、本気で悪かった、すまんっ!」

ガンッ!と床に額を擦り付けるノーデンスを、ナイアは可哀想なものを見る目で見ていた。

「……ボク、やっても変わらないって……ちゃんと言ったよネー?」




「最初っからそんなのやる気無いヨー?」




「…………は?」

ノーデンスが視線を上げると、一転して悪戯が成功した時の子供のような目をしたナイアがそこにいた。

「いヤー、あまりにも気持ち良く騙されるノーデンスに、ついついネタばらしするのが遅れちゃったヨー。ごめんネー?」

「……っな、なんだよ……冗談か……心臓に悪いぜ……」

「あはははハー。やだナー、ボクがそんなことするはず無いじゃないカー」

無邪気に笑うナイアを見ながら、ノーデンスは昔にあったことを思い出す。

昔、本の取り合いをした時に、じゃんけんだと言って手を離させ、その隙にぱぱっと分身にその本を借りさせたこと。

昔、お気に入りのおもちゃをクトゥグアに壊され、その仕返しにクトにあることないこと吹き込んだこと。

昔、名前も知らない相手に馬鹿にされ、その相手をぶん殴って気絶させ、女装させて縛り上げて棄てていったこと。他にもまだまだある。

(……ナイアが言うと、どんだけ突拍子の無いことでも本気にしか聞こえねえし)

……それでも、そんなことをおくびにも出さずにノーデンスはナイアに笑いかけた。

「……そうかい」

……多少、ひきつっていたかもしれないが。

「そうサー♪ ……ところでサー」

「……今度はなんだよ?」



「安心した?」



「……いや、あの、そろそろマジで勘弁して欲しいんだが……」

「あっソー。じゃあこのへんでやめとこっかナー?」

ケラケラと笑うナイアを見て、ノーデンスはこいつの事を怒らせるのはやめようと、心に誓うのであった。





  昔から他神をからかうのが大好きだったナイアとその被害者の一柱。




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