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異世界編 2-18

 

フルカネルリだ。そろそろ次の大陸に移ろうと思うのだが、今回の移動は船ですることにした。一応この国と貿易を行っている国があるらしい。どうも貿易と言うより力で無理矢理引きずり出しているような印象があるが、それでも一応貿易としておく。向こうもちゃんとこちらの国を利用しているようだし。

それ以外に巨大な客船もあり、貴族や商人が利用しているらしい。まあ、今回は平民用とでも言うべき質素な船にしておこう。

……ああ、そうだ。ナイア、アザギ。今回は私の手に終えなくなるまで手は出さないでくれ。何が起きるかを体験したいのでな。

《わかったヨー》

『……手に終えなくなったら、すぐに手を出すわよぉ………?』

ああ。すまないが、よろしく頼む。


船に乗り込み、まずは指定された自分の部屋へ。荷物を置く気は無いが、部屋の場所と同室に泊まる誰かの顔と性格程度は見ておくべきだろう。

その際、何らかの手出しをして来た時はこちらからも報復をしなければならないし、気は抜けんな。

金を払った相手は特に後ろ暗いことに首を突っ込んでいる様子は無かったが、他の乗組員や客の一人一人まで信用することは無い。

……ああ、ここか。

扉を開くと中に居た数人の視線が私に突き刺さるが、その全てをさらりと受け流しながら空いているベッドの一つを占領する。

それから、すでに私に視線を向けていない同室の者達の解析を開始する。

……さて、どのような者達だろうか?


あまり儲かっていない商人が一人。旅人が一人。身分を隠した貴族の次男が一人。そこに私を加えた四人がこの部屋に泊まるようだ。

……さて、なぜこれほど厄介事に巻き込まれそうな部屋に割り当てられたのだろうか? 呪われているのか?

……呪われていたな。そういえば。

《呪ってるヨー。ボクがネー》

まあ、それはいい。この程度の世界ならば最新の研究は戦場に出てくることが多いからな。

しかし、戦場以外にも謎や知識は意外と転がっているものだ。そういったものを取りこぼさないように注意しながら行動するとしよう。

……そうだ。今度から指定した場所の映像を移す鏡と場所を指定する楔を作り、様々な場所に打ち込むようにするか。無論鏡無しでも知覚することができるように術式を組み、常にその場から情報を送るように………そうするとなると、見ていない時の映像を記録するものが必要だな。

……それも平行して作るか。どちらも術式で構わないだろう。

まずは楔を打ち込む術式と楔に力を送り込む術式。それに楔から3km以内の出来事を映像に音声つきで記録し、記録用の道具に送る術式を組み上げる。

それに平行して、取り出した魔力の結晶に記録用の術式と目録を作る。それと記憶領域が間に合わないだろうと思われるので外付けの記憶媒体も。

楔を打ち込む術式は靴にでも仕込んでおけば良いか。そうすれば私がただ歩くだけで世界中に楔が打ち込まれる。それにそれぞれの大陸の位置関係もわかるし、地図いらずだ。

……まあ、作るが。


食事は一日二回。朝と夜にあまり多くない量を食堂へ食べに行くようだ。

……それにしても、この時代の保存食と言うのは本当に不味いな。これなら魚でも釣って自分で料理でもした方が美味いものを食べられるだろう。

よし、思い付いたが吉日。早速作るとしようか。

材料は研究室の周囲に大量に生息している無属性の結晶の樹の枝と、畑に生えていたとうもろこし(結晶化)の茎をほぐして編んで作った糸。針は無属性の獣の抜け落ちた歯を削り出して再利用する。

《へー、きれいだネー。どこで釣るノー?》

甲板と言うことになるだろうな。大物を釣る気はないから構わないだろう。舵は離れているし、動力も櫂ではなく帆を使っているので邪魔にはならないはずだ。

結晶の樹は高い硬度としなやかな強度を併せ持った良いものだ。糸もそう簡単には切れないし、魔力でできているために形成が簡単なのもまた良い。

餌はそこらに居た鼠を捕まえ、挽肉にして固めた肉団子。釣れるかどうかは運次第だ。

《捕まえたノー!? そして潰したノー!?》

ああ。

『……回りが引いてたわよぉ……?』

そうだったか? 正直に言ってどうでもよかったので気にしていなかった。

……さて、行くとするか。




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