異世界編 2-4
ゆっくり更新していきます。
フルカネルリだ。他の大陸からの人口の流入も緩やかになり、三万人程度で落ち着いた。これからは増えるとしてもじりじりと増えて行くだけになるだろう。
確かにこの世界は広く、存在している生物の多様性もかなりの物になるが、ああいった外れ者達が無限に存在するかと言えばそれは違うわけだ。
………まあ、一時的にいなくなってもまた何らかの要因で誰かが外れ者になるのだろうが。
『……人間ってぇ……やぁねぇ……?』
《人間以外でも同じようなもんだヨー。特にこの世界ではネー》
やれやれ。救い難いな。
一応、私は全員の顔と名前を覚えている。そして恐らく私に直接会ったこの大陸の住人達も私のことを覚えているだろう。
《覚えてるっていうかなんかキミはミモリの神の唯一の巫女みたいな目で見られてるヨー?》
…………まあ、そう見えるように行動したのは私だし、構わないだろう。
『……表情と言ってることがぁ……矛盾してるわよぉ……?』
そうだろうな。私は女扱いされることにはなにも思ってはいないが、そのせいで私の動きの邪魔をすることになるようなものは大嫌いだからな。
今回で言えば、巫女だという理由で私に何らかの制約を求めてきたり、私を通して見守を利用しようと近付いて来たりするのが鬱陶しい。
利用しようとするのは全く構わないが、それをばれていないと思い込んで下手な演技で近づいてくるのは腹立たしい。
《安心しなヨー。そういうのはこの大陸にはいないからサー》
ほう? やけに自信ありげだな? 確証はあるのか?
『うふふふふ……わたし達が、瑠璃に害を与えるものを………許すとでも思ってるのかしらぁ……?』
《ちゃんと頭の中も未来も過去も人格も性格も根源も存在も魂の色も質も波長も力も考え方も何もかも覗き見たヨー。その上で危険そうなやつは書きかえてやってるからネー》
そうか。その書きかえられた相手には私からもちょっとした呪いを贈ろう。
……不能の呪いと種無しの呪いと子ができなくなる呪いと、どれがいいと思う?
《全部した上でゆっくりと性転換していく呪いなんてどうかナー?》
……また悪辣な…………採用だ。
『……ふふふ……採用しちゃうのねぇ……♪』
ああ。利用するためのやり方を覗き見れば、慈悲など欠片も湧きはしない。
……その相手が私だというのだから、余計にな。
…………ああ、私も甘くなったものだ。こんな軽い呪いだけで済ますとは。もし初めの世界でこのようなことを知ったのならば、確実に私の実験動物/虐待対象/玩具にして壊して直して壊して直して壊して直して壊して直して壊して直して壊して直して壊して直して壊して直して壊して直して壊して直して壊して直して壊して直して壊して直して壊して直して壊して直して壊して壊して壊して壊して壊しきって直らなくなるまでは何度でも直して壊れたままになったら私に依存させて使い潰して潰れたらまた直してもう使えなくなったら生きていくのに最低限だけ直して適当なところに棄てて自殺を禁じてそのまま放置して死ぬならそれでよし、死なずに限界まで生きていき、絶望するもよし、自殺するなら本格的に棄ててやるもよし、優しい言葉をかけてさらに心酔させ、その上で使うも壊すも棄てるも自由という状態で放置するもよし、死なずに新たな幸せを見つけ、それに溺れた所でそれを奪ってやるもよし――などと考えたことだろう。
……うむ。やはり私は優しくなったな。今ではこの程度しか浮かばない。
『……実行はぁ……しないのぉ……?』
しない。態々そんなモノのために時間を割いてやるなど馬鹿のやることだろう。
《フルカネルリってサー? 意外にかなりドSだよネー?》
五月蝿い。酸性霧を吸い込み続けて肺から溶けて死ね。
《久々に聞いター!? そしてやっぱり超絶的に痛い死に方ダー!?》
そうだな。
《……こういうのを普通な思い付くからドSだって言われるんだヨー》
五月蝿い。頭頂部から少しずつピーラーで剥かれて揚げられナイアチップスになって死ね。
《食べるやついないよそんなノー!?》
そうか。どうでもいいな。むしろそのまま腐り果てろ。
《うわーん!》
ナイアは泣きながらどこかへと消えていった。
……まあ、放っておけば勝手に帰ってくるだろう。
……さて、例の呪いを実行するか。
そのあとほんとに実行しちゃったフルカネルリ。