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本編はここまで。それとネタが一つ。
フルカネルリだ。異世界に行く準備は万端だ。
《ハンカチは持っター?》
持っている。
《ティッシュハー? 忘れ物は無イー?》
……既にその質問は八回目で、確認するのは四回目だぞ?
『……うふふ……心配性ねぇ……♪』
……まあ、確認はするがな。
《あ、するんダー?》
私にとってはしばらくというにはいささか長い時間離れる事になるこの世界の事を記録する。
前回は忘れていなかったが、今回も忘れないという確証は無いため記録は細かく、そして詳しく。
《しっかりしてるネー》
臆病なだけだ。
『……ふふふ……いいことよぉ……?』
そうか?
……よし、終わったな。
前回書いたものと合わせればこの世界の事を確りと記録した。
……さて、行くとしようか。
《準備はできてるみたいだシー、飛ばしていくヨー!》
『……体は、強くなってるからぁ……気を付けてねぇ……?』
わかっているさ。……まあ、どこまで強くなっているかは理解していないのだが、その辺りは慣れて行けば良いだろう。
前回と同じように私が荷物を掴み、アザギが私の肩に乗った。
《今回は行き方ちょっと違うからネー》
そうか。
その瞬間、私の足元が闇色の何かに呑まれ、私はその中へと落ちていった。
……確かに、随分と違うな。
《でショー?》
『……そうねぇ……』