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2-60

具体的には異世界直前まで

 

フルカネルリだ。今日見るものは大仏だそうだ。

……少々気になるのだが、やはり神や仏というものはこういった像などを建てた方がいいのだろうか?

《フツーに信仰集めなきゃいけないんだったら、そうだヨー》

……ミモリの神は巨大な樹を神体とするつもりだったのだが……。

《あ、それなら自然信仰が勝手に集まってくるからある程度は平気だヨー。世界のすべてを偉大なる神が作り、自然の中に精霊を産んだ、とかいうのがなければネー》

……つまり、自然の驚異を司るものが居なければ、もしくは居たとしても知られていなければ平気なのだな?

《そういうことだネー》


白兎が私の肩に寄りかかり、うたた寝をしている。やはり疲れていたようだ。

「……ん………」

ぎゅ、と袖を掴まれる。もうすぐ目的地に到着するのだが……やれやれ。私が運ぶしかないか。

白兎をおぶってバスを降りる。私の後ろから副校長が校長を背負って出てきた。

ふと、教頭と目があった。

……苦労人の目をしていた。おそらく校長のことで副校長となんらかの話し合いがあったのだろう。

《精神空間の中で喧嘩してたヨー》

なるほど、肉体言語での話し合いがあったのか。それならば疲れるだろうな。

……一応、応援だけはしておくとしよう。


結局白兎はその日旅館に戻るまで目を覚まさなかった。昼には食事もとらせたのに何故起きないかは不思議だが、そういうものなのだろう。なんと言っても白兎だし。

《白兎ちゃんもキミにだけは言われたくないと思うナー?》

そうか?

《そうサー》

そうか? ならば聞いてみることにしよう。

「白兎。お前は不思議な奴だな」

「…ん……るりに、いわれひゃ……くぅ………」

どうやら本当のようだ。

《何で白兎ちゃん完璧に寝てるのに受け答えできるノー!?》

さてな? それも恐らく‘白兎だから’なのだろう。


夕食の時間になったら白兎は飛び起きた。校長も同じように起きたような気配がする。

《いったいどんな気配サー?》

さてな。そのような気がしただけだ。

……あながち外れでも無いだろう?

《……確かにクトちゃんすぐ起きたけどサー……》

そうだろう?

「瑠璃? ご飯だよ?」

「ああ、そうだな」

白兎に連れられてやって来たのは大広間(のような所)。生徒と教師、そして何故かナイアの分まで食事が用意されていた。

《アー、まあ、用意されてるんだったラー……食べないとダメだよネー?》

……好きにすればいいだろう。

《じゃあ食べよっかナー》

そう言うとナイアは校長の隣で実体化した。

「お邪魔するヨー」

「いえいえ、こちらが勝手に用意しただけですから」

邪神同士、和気藹々と話をしているが、何故か周囲は一人増えていることになんの疑問も抱いていないようだ。

……また何かしたな。

そう思ったが、害になることを校長がするとは思えないので放置する。

そこで教頭が立ち上がり、ざわざわと騒がしかった周囲を静かにさせる。

校長からちょっとした話があったが、それもすぐに終わる。

「それじゃあ、いただきます!」

……いただきます。






ひゅるりと吹く風をすり抜けて、逃げ回っている霊を追う。

流石は京都と言うべきか、色々な所に様々な神霊が存在している。

しかしそれもあまり強い存在ではなく、事故や偶然でこの世界に流れ着いたものばかり。

ナイアに聞いたが、この辺りに存在している霊は全て知り合いの炎の邪神達に把握されているようだ。

それは単に自分の生徒のためであり、害を与えそうなものは駆逐してきたらしい。

しかし偶然や事故でこの世界に侵入してくる存在は少なくないようで、毎年襲いかかってくる者を駆逐しながら修学旅行を続けているようだ。

……今年はそのように気の抜けない状態を少しでも楽にしてあげるため、そして瑠璃に近付く害虫の排除のために、わたしがそれらを叩き潰している。

食い潰せば少しはわたしの力になるし、わたしが強くなればそれだけ瑠璃に危険は及ばなくなって行く。

……今、すでに八十七体目を食い潰したところだ。残りは沢山。炎の邪神達には敵わないが、わたしにならば数で押せば勝てると思ったらしく、次から次に涌いてくる。

…………こういうのを、何て言うのだったかしらぁ……?

……あぁ、そうそぅ……

「飛んで火に入る、夏の虫」

……だったわよねぇ……♪

それじゃぁ、手早く終わらせましょうかぁ……?

…………イタダキマス……♪



  京都についてからずっと喧嘩中のアザギ。




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