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どうやら本格的に書けなくなりそうなので、今のうちにあるだけ投稿します。
フルカネルリだ。白兎にチョコレートを貰った。何を返せば良いと思う? 意見をくれ。
《なんかつくってあげたらどうかナー? 砂時計とかどウー?》
……ふむ。中々良い案だ。
『……こうしてウサギちゃんに持たせてぇ……籠の中で、くるん、って回すのはぁ……ダメかしらぁ………?』
………よろしい。採用だ。
そうと決まれば帰ってすぐに作り始めるぞ。
『……はぁぃ……♪』
《わかったヨー》
アザギが作った形を実物として作る。
兎、籠、砂時計の固定台。一つ一つを手作りで。
……と、言ってもナイアの加護の助けを受けているので簡単に出来ているのだが。
ちなみに砂は未来で作られた磁気に干渉されず錆びにくい鉄より僅かに重い赤い金属を使用している。名前はエントンプソン鋼だそうだ。通称、緋緋色金。
《……そ、そんなの使っていいノー?》
『……緋緋色金ってぇ……伝説の金属………だったかしらぁ……?』
構わん。作れるからな。
それに、伝説の金属の名を通称といえどつけられるだけのことはある。多少脆いが異様に硬い。
それに合わせて外側の筒も強化する。そのまま使っては内側の傷で内部が見れなくなってしまうからな。
こちらの方も簡単だ。どこにでもある水晶の形を変えて筒状にして強化してやればいい。
《水晶はどこにでもはないと思うナー?》
地中に元はいくらでもあるだろう。たとえ無くても作れる。
《……ボクの加護を教えたのつい最近なのニー……使い方が上手になってるナー……》
『……ふふふ……瑠璃だものぉ………そのくらぃ……やったって、おかしくないわぁ……♪』
《…………そうだネー》
そうだろう?
さて、形はできたことだし、一月後に渡せばいいのだから……白兎から貰ったチョコレートを食べるとしようか。
《晩御飯のことも考えて食べるんだヨー?》
わかっているさ。
……それにしても、この体になってから甘いものが美味いな。元々辛いものが好きな私にとってはこの変化は驚くべき事だ。
ちなみに、甘いものが好きになったが、辛いものは好きなままだ。
《両党って訳だネー》
そうだな。
瑠璃にチョコレートをあげよう。
そう思ったらすぐに行動開始。お母さんに協力してもらってチョコ作り。まずはスーパーで業務用のチョコレートを買ってくる。多すぎるような気がしないこともないけど失敗することも考えて多い方がいいよね。
家に帰ってからすぐに手を洗ってエプロンつけて、台所に立つ。お母さんには口だけ出してもらって、手は借りない。
……瑠璃には私の作ったチョコを食べてもらいたいんだもん。
大きなチョコレートの塊を布で巻いてトンカチで叩いて割る。それからちょうどいい大きさになっているチョコを湯煎で溶かして、いくつかに分けて固める。
小さいのがいっぱいと、中くらいなのが一つ。ハート型じゃあない。なんとなく、瑠璃はそういうのが好きじゃないような気がしたから。
……気のせいかもしれないけど。
チョコを冷ましているうちに新しくチョコを溶かす。
さっきので本体はできたから、今度は飾り付け用のチョコだ。
………って言っても、瑠璃みたいにものすごい上手な飾り付けとかはできないけれど。
瑠璃のはすごいよ? 「どこの本職の人が作ったの?」って聞きたくなるくらい上手なチョコ細工を作るし、さらにその上に綺麗な飴細工まで乗っけるんだもん。
……ほーんと、瑠璃って完璧超人だよねぇ…………本人は違うって言い張るけど。
……そろそろ固まったかな?
固まったチョコにアーモンドを乗せたり刻みクルミを乗せたりしてできあがり。中くらいのは自分用。小さいのを一人四つぐらいで考えて……うん、大丈夫。
瑠璃の分は六つで明らかに贔屓だけど、別にいいよね?
……ふふふっ♪ 明日が楽しみだなぁ……。
……瑠璃は、喜んでくれるかなぁ……喜んでくれると、いいなぁ………♪
チョコの入った袋をもって学校に行く。今日は色んな所でチョコをあげたりもらったりする人達がいる。
私は教室に行って、いつも通りに自分の席に座っている瑠璃に近づいて行く。
そして、いつもと同じように、ちょっと違った言葉をかける。
「おっはよ、瑠璃。はいこれ」
フルカネルリにチョコを渡すことに成功した春原白兎のバレンタインデー。
そして、とある場所で。
「……はい、あんたにあげるわよ」
「ん? なんだこれ……チョコか?」
「か、勘違いはダメよ。結構長い付き合いだし、今までもあげてたから今年からいきなりあげなくなるのも変かなって思ってあげただけですからねっ!それに私があげなかったらクトちゃんからだけになってかわいそうだからよっ!」
「お、おう……ありがとな」
「……ふん」
クトゥグアに真正面から礼を言われ、アブホースは頬を染めてそっぽを向いた。
そして毎年見られるツンデレと素直になれない邪神の話。