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アクセス1万いったらなんか書きます。

フルカネルリだ。三歳になったが振り袖とか言う服を着せられそうだ。これが嫌だと思ったら女物の服を着るのはやめようと思う。

《似合ってるけどネー》

五月蝿い、両手両足の爪の間に針金虫を入れられて激痛にのたうち回って死ね。

《……フルカネルリも言うようになったネー》

お陰様でな。

《………想像したらなんか痛くなって来たヨー……》

……御愁傷様。


なぜ私がそんな服を着せられそうかと言うと、この国の「七五三」と言う行事のためだ。

それで着てみたのだが、やはり落ちつかない。これはやはり私が男であるからだろうか?

《そうなんじゃないノー?》

気の抜ける返事をありがとう。


という声や音のみを運ぶ箱。あの後写真を撮ったり神社にお参りをしたりして一日を過ごしたのだが、とりあえずもう女物の服は着たくない。

特にスカート。あれは絶対に嫌だ。

……話は変わるがあの「かめら」というものは素晴らしいな。あっという間にあそこまで精巧な絵を描き上げるのだから。いったいどのようにして作られているのだろうか? 非常に興味をそそられる。

ここに転生させてくれたナイアには礼を言っておくべきだろうな。ありがとう。

《喜んでくれるとボクも嬉しいヨー》

そうなのか?

《そうだヨー》

そうか。


それにしてもここには私の興味を引くものが多すぎる。例えば「てれび」とかいう遠くのものを映し出す箱や、「らじお」という人の声や周囲の音を集めて記録し、多くの場所に送ることができる箱。その他にも「しんぶん」という毎朝送られてくる情報媒体と、どのようにしてこのような均一な文字を書き続けていられるのか。非常に興味をそそられる。

《興味を持つのは良いんだけどサー、読めなきゃ意味ないヨー?》

読めるが?

《読めるノー!?》

読めるぞ。さらにいってしまえば英仏独、ギリシャにローマにエジプト、スペインまでならなんとかなるぞ。

《マジで凄いねフルカネルリー!》

そうか? このぐらい私の回りには出来ない奴は居なかったぞ?

《……ああ、そう言えばフルカネルリがいろんな所から取り寄せた本を読むために皆に教えてたからネー》

知っていて困るより知らずに困る方が致命的だからな。私の知ることはほぼ全て弟子たちも知っているさ。

《……キミが暗号化してたあれハー?》

あれは、秘密だ。

《……ボクにも読めなかったんだけドー》

本当か!? ふむ、私も中々やるものだ。

《…………「中々」どころじゃないんだけどネー》

ナイアはそう言って軽くため息をついた。






「あ、い、う、え、お」

「あー、いー、うー、…えー、おー…?」

「そうよー、瑠璃ちゃん♪」


喋り始めてすぐに瑠璃ちゃんは文字に興味を持った。それで時間のある私が平仮名を教えているのだけれど、瑠璃ちゃんはかなり覚えがいい。今だって、

「……きょう、は、いい、てんき、です」

こうやって私が書いた平仮名をたどたどしくだが読んでいる。

…………すごく、可愛い。

「……おかあさん?」

「――はっ! だ、大丈夫、あってるわよ瑠璃ちゃん」

危ない危ない、変な所に逝っちゃうとこだったわ。

「それじゃあ次は、書いてみよっか。『いろはにほへと、ちりぬるを』」

私がそう言うと、瑠璃ちゃんは鉛筆をしっかり持って書き始める。持ち方はどうやら私のを見て真似たらしく、普通のものより親指がやや下になっている。

「わからなくなったらお手本を見てね?」

私の癖を瑠璃ちゃんに真似させないように指を直しながら私の書いたいろは歌の紙を瑠璃ちゃんが見やすい場所に動かした。

「……うん、だいじょうぶ……『い、ろ、は、に、ほ、へ、と、………』」

じっと見てみるが、瑠璃ちゃんは癖を直された後はしっかりとそのまま字を書いている。間違いもない。

ただ、なぜか『の』の文字だけが特徴的で、終わりのところがくるりと上を向いている。

「……おかあさん。『けふこえて』、のあとってなに?」

「『けふこえて』の後は、『あさきゆめみし、ゑひもせす』よ。もう少しね」

私が笑うと、瑠璃ちゃんもつられて笑う。

「うん、がんばる。……『あ、さ、き、…………』」

………それにしても、本当に覚えがいい。これならすぐに片仮名の方に取りかかれるだろう。

……まあそれも瑠璃ちゃんがやりたいと言えばの話だが。



  あまりにも覚えが良すぎるのにさらりと流す古鐘哀華のある昼下がり

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