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クラスの完璧美少女と放課後の音楽室で! 2人の時は甘々に!  作者: ルキノア


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文化祭の役割分担

始業式の翌日。

教室はすでに、文化祭モードに入っていた。

黒板には大きく書かれている。


【クレープ屋】


「まず役割決めるぞー」


担任の声。

でもクラスは半分くらいもう勝手に話し始めている。


「接客やりたい!」


「俺焼くの無理なんだけど」


「え、楽しそうじゃん」


ざわざわした空気。

その中で。

凛は黒板の前に立っていた。

チョークを持つ。


「一回整理しよ」


学級委員の三浦が言う。

その一言で、少し空気がまとまる。


「クレープだから」


凛が黒板に書く。


【調理】【接客】【レジ】【呼び込み】


「こんな感じかな」


クラスが頷く。


「で、それぞれ何人ずつ必要か決めて――」


淡々と進める。

完全に“いつもの凛”。

でも。

後ろの席から声がする。


「凛、これ足りる?」


玲。

自然な声。

凛が振り返る。


「どこ」


玲がノートを軽く見せる。

凛が少し近づく。

二人の距離が近い。

女子たちがさりげなく見ている。

凛は普通に覗き込む。


「……ああ」


少し考える。


「呼び込みもうちょい増やした方がいいかも」


玲が頷く。


「じゃあ三人にする?」


凛は即答する。


「うん、それで」


その流れが、あまりにも自然だった。

女子の一人が小声で言う。


「距離近くない?」


「近い」


「普通に会話してるのやばい」


そんな視線を感じつつも、凛は平然と黒板に書き足す。

でも。

ほんの少しだけ、耳が赤い。


「じゃあ、やりたいとこある人?」


手がいくつか上がる。


「接客やりたい!」


「はーい」


凛が名前を書いていく。


「じゃあ調理は――」


男子が言う。


「玲やれよ」


一瞬、空気が動く。

視線が玲に集まる。

玲は少し考える。

その前に。

凛が言う。


「向いてると思う」


さらっと。

でも。

少しだけ柔らかい声。

玲が見る。


「そう?」


凛は頷く。


「手先器用だし」


「あと無駄な動き少ないから」


完全に褒めてる。

男子たちがニヤつく。


「評価高くね?」


凛は一瞬だけ詰まる。

でもすぐに言う。


「事実」


言い切る。

女子たちが「出た」と小声で笑う。

玲は少しだけ笑う。


「じゃあやる」


凛がすぐ書く。


【調理:月城】


その書き方が、少しだけ丁寧だった。

気づく人は気づく。


「じゃあ凛は?」


誰かが聞く。

凛は少し考える。


「接客とレジ、どっちでもいい」


女子が言う。


「絶対接客でしょ」


「それな」


「看板娘じゃん」


凛がため息をつく。


「やめて」


でも。

完全には否定しない。

玲がぽつりと言う。


「似合うと思う」


一瞬、空気が止まる。

凛がゆっくり振り返る。


「……なに」


玲は普通に言う。


「接客」


「向いてる」


凛は数秒黙る。

それから、少しだけ視線を逸らす。


「……じゃあ接客で」


女子たちが一斉に反応する。


「今のなに!?」


「完全に決め手じゃん!」


「弱すぎ!」


凛が言い返す。


「違うから」


でも。

否定しきれてない。

耳がしっかり赤い。

玲は何も言わない。

ただ、少しだけ笑っている。

役割がどんどん埋まっていく。

教室の空気も、少しずつまとまっていく。

その中で。

凛がふと小さく言う。


「玲」


「ん?」


「ちゃんと焼いてね」


玲が少し笑う。


「失敗したら?」


凛は一瞬だけ考える。

それから言う。


「……責任取って」


玲が眉を上げる。


「なにそれ」


凛は少しだけ笑う。


「全部食べる」


玲が吹き出す。


「それ責任じゃないだろ」


凛も小さく笑う。

その空気。

周りが少し静かに見る。


(なんかもう完成してない?)


そんな視線。

でも二人は気づいていないふりをしている。

文化祭まで、あと少し。

準備はまだ始まったばかり。

でも。

この空気は、もう出来上がりつつあった。


放課後。

教室の一角に、簡易的な調理スペースが作られていた。

机をくっつけて、ホットプレート。

材料は買い出し班が用意してきたもの。


「試作やるぞー」


誰かが言う。

クラスが少しだけ盛り上がる。


「お、楽しそう」


「食べれるやつ?」


「それな」


凛はエプロンをつけながら言う。


「ちゃんと練習だからね」


その言い方がもう真面目。

でも。

どこか楽しそうでもある。

玲も隣で準備している。

袖を少しだけまくる。

凛がちらっと見る。


(似合う)


一瞬思って、すぐ目を逸らす。


「……焼くよ」


玲が言う。


「うん」


生地を流す。

じゅわっと音がする。

少しだけ甘い匂いが広がる。

クラスが「おお」と声を上げる。

凛は横で見ている。

じっと。

玲の手元。


「そんな見られるとやりづらい」


玲が言う。

凛はすぐ返す。


「見てない」


「見てるだろ」


「確認してるだけ」


玲が少し笑う。


「監督かよ」


凛は少しだけ得意げに言う。


「失敗させないために」


でも。

その視線は、どこか柔らかい。

生地をひっくり返す。

綺麗に丸い。

女子たちが言う。


「え、上手くない?」


「普通にできてるじゃん」


凛が小さく頷く。


「でしょ」


なぜか少し誇らしげ。

玲が見る。


「凛がやったみたいに言うな」


凛は即答する。


「半分は私の指示だから」


玲が少し笑う。


「そういうことにしとく」


そのやり取りに、周りがニヤニヤする。


「何その夫婦感」


「自然すぎる」


凛が一瞬固まる。


「違うから」


でも声が少し弱い。

玲は何も言わない。

ただ普通に作業を続ける。

完成。

クレープにクリームを乗せる。

凛がトッピングを持つ。


「これでいい?」


玲が見る。


「多い」


凛が少しムッとする。


「少ないよりいいでしょ」


「バランス」


「見た目重視」


「食べにくい」


軽く言い合う。

でもどこか楽しそう。

凛が少し雑にクリームを乗せる。


「……あ」


少し崩れる。

女子が笑う。


「凛ミスった」


「レアじゃん」


凛が止まる。

一瞬だけ。

ほんの少しだけ、困った顔。

そのとき。

玲が手を伸ばす。

崩れた部分をさっと整える。

無駄のない動き。

凛が見る。


「……ありがと」


小さく。

玲は何も言わない。

ただ頷くだけ。

その距離。

その空気。

周りがまた静かに見る。


(やっぱりできてるよね)


そんな視線。

完成したクレープ。


「試食!」


一口食べる。

凛が少し目を細める。


「……おいしい」


玲が言う。


「普通にいけるな」


男子が言う。


「売れるじゃんこれ」


女子も頷く。


「絶対人気出る」


凛は少しだけ安心した顔をする。


「よかった」


そのとき。

山下が近づいてくる。

少しだけ間を空けて。


「一口いい?」


玲が無言で差し出す。

山下が食べる。

数秒。


「……うまい」


素直な感想。

凛が少しだけ驚く。

山下が続ける。


「普通にすごいな」


前みたいな棘はない。

少しだけ。

認めるような声。

玲は軽く言う。


「練習したらもっと良くなる」


山下が頷く。


「だな」


短いやり取り。

でも。

空気は前よりずっと柔らかい。

凛はそれを見て、少しだけほっとする。

玲が横で言う。


「接客頼むな」


凛が少し笑う。


「任せて」


そして、小さく付け足す。


「玲の作ったやつ、ちゃんと売るから」


玲が少しだけ目を細める。


「期待してる」


凛は一瞬だけ視線を逸らす。


「……任せてって言ったでしょ」


でも。

その声は少しだけ柔らかい。

放課後の教室。

甘い匂い。

笑い声。

文化祭の準備。

その中で。

二人の距離は、もう隠しきれないくらい近くなっていた。

文化祭まで、あと2週間。

準備も。

関係も。

順調に進んでいく。

 

 

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