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クラスの完璧美少女と放課後の音楽室で! 2人の時は甘々に!  作者: ルキノア


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29/43

玲以外には仮面は外せない

短めです!

最近多くの方に見ていただけるようになり感謝の気持ちでいっぱいです!

ある日午後。

凛は駅前の書店にいた。

参考書を買いに来ただけ。

それだけのはずだった。

レジを済ませて外に出た瞬間。


「あ、凛じゃん!」


振り向く。

同じクラスの奈緒と優衣。

私服で会うのは少し新鮮だ。


「こんなとこで会うとか珍しくない?」


奈緒が笑う。

凛も、自然に笑う。


「ね。びっくりした」


声はいつも通り。

表情も、たぶん大丈夫。


「勉強?」


優衣が参考書の袋をのぞく。


「まあ、ちょっとだけ」


「えら……」


「やっぱ凛ってちゃんとしてるよね」


その言葉。


胸の奥が、ほんの少しだけざわつく。


「そんなことないよ」


反射的に返す。


「いやあるって。夏休みの計画とかもう立ててるでしょ?」


「一応ね」


「すご。うちまだ何もしてない」


奈緒が笑う。


「凛がクラス代表でほんと助かってるし」


「文化祭も頼むよー」


冗談みたいに言う。

でも、期待は本気だ。

凛は笑う。


「まだ何も決まってないし」


「でも最終的にまとめるの凛でしょ?」


決めつけ。

悪気はない。

それが一番きつい。


「まあ……そのときは」


自然に出る返事。

断らない。

否定しない。

いつもの凛。


「今ひま? お茶しない?」


誘われる。

少しだけ迷う。

本当は、帰って少し休みたかった。

でも。


「いいよ」


口が先に動く。



カフェ。

三人で並んで座る。

奈緒が言う。


「凛って悩みなさそうだよね」


ストローを持つ手が、ほんの少し止まる。


「え?」


「なんかさ、いつも安定してるじゃん」


「わかる。感情の波なさそう」


笑いながら。

凛も笑う。


「そんなことないよ」


軽い声。

上手くできている。

ちゃんと、できている。

でも。


(あるよ)


胸の中で、小さく返す。


(あるに決まってるじゃん)


言わない。言えない。

言ったら、崩れそうで。

玲の前では言えた。


「不安になる」って。


でも今は。

それを出す理由がない。

出す空気でもない。


「凛なら大丈夫って感じするもん」


優衣が言う。


「失敗とか想像できない」


その瞬間。

胸が、少しだけ苦しくなる。


(失敗、してみたいのに)


少しだけ。

ちゃんとしてない自分で、いたいときもあるのに。

でも。


「そんな完璧じゃないよ」


笑う。

完璧な笑顔で。



別れたあと。

一人で歩く帰り道。

急に、どっと疲れが来る。


(こんなに、疲れたっけ)


前も同じような会話はあった。

前は、平気だった。

むしろ誇らしかった。

“ちゃんとしてる”って言われるの。

今は。

息が浅い。


(なんで)


答えは分かっている。

玲の前で、仮面を外してしまったから。

外してもいい場所を知ってしまったから。


だから。

また被ると、重い。


スマホが震える。

玲。


《外いる?》


短い。

凛は少しだけ笑う。


《駅前》


《行っていい?》


《うん》


数分後、姿が見える。

凛はいつもの顔を作る。


でも。

玲は一目見て言う。


「疲れてる?」


凛は一瞬だけ固まる。


「別に」


反射。

でも、その声は少しだけ弱い。


玲はそれ以上聞かない。

ただ、隣に並ぶ。

歩き出す。


沈黙。

でも、不思議と苦しくない。

凛は思う。


(言わなくてもいい)


今はまだ。

全部は言わない。


でも。

隣にいるだけで、呼吸が深くなる。

外ではちゃんとできる。

ちゃんと笑える。

ちゃんと応えられる。


でも。

ここでは。


少しだけ、ゆるめられる。


「ねえ」


凛が小さく言う。


「なに」


「ちゃんとしてるって、疲れるね」


玲は少しだけ笑う。


「知ってる」


凛は目を細める。


「なんで」


「俺もそうだったから」


少しだけ、肩の力が抜ける。

全部は言わない。


でも。

仮面を外せる場所がある。

それだけで。

明日も、きっとまたちゃんとできる。

そのことが、少しだけ切なくて。

少しだけ、救いだった。

 

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