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あの娘がなぁ人生は残酷だ
田口と少し離れた所に1人の女が立ってこちらをみている。彼はその女が気になって、田口に小声で聞いてみた。
「お前、結婚したのか?あれはお前のツレか何かなのか?いいな俺も早く結婚したいよ」
田口は女の方をチラリとみてから、首を振って声を抑えて笑った。
「覚えてないのか?妹の美咲だよ」
彼はすばやく記憶の流れを後戻りして、中学生の時に1つ下の田口の妹がいたことを思い出した。
美咲がこちらの方に歩いていくる。スラっとした体型で、目鼻立ちがしっかりしている美人だ。
「どうもお久しぶりです。この度はご愁傷様でした」
彼も軽く挨拶すると、美咲はバッグの中から白い薬の袋を取り出した。
「お母様のお薬です。私あの病院で働いているんです。看護師として」
彼は少し驚いた風のリアクションをみせて、そうだったんだと納得した。あの美咲ちゃんが今は立派な看護師だもんな。自分と来たら・・・。彼は何だか情けない気分になった。




