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冷たい世間は予想通り
親戚と彼を合わせて10人にも満たない寂しい葬式がはじまった。母親の職場の人が、チラホラと顔を出す程度だ。
お坊さんが御経を読み上げる間、彼は急激な眠気に襲われた。眠気のなかで、明日の生活費のことが頭から離れなかった。叔母に相談してみようか。きっと邪険に扱われるだろうけど。
昼食前に火葬場に向かうことになった。
母親が死んだという実感が湧いてこないまま、彼の別れは着々と進んでいった。母親が焼かれている間に食べる弁当は、昨日の卵かけご飯とは違って豪華だった。
「あんた生活はどうするつもり?食べていく分はあるの?私たちは何の力にもなれないけど」
この言葉で釘を刺された彼は、誰に頼ることも出来ないのだと知り、相談の前に軽い絶望へと追いやられた。世の中というものは、予想通りの冷たさだと彼は心の中で苦笑した。




