母が持っていた土地が発覚
彼は安アパートを借りて、ネットカフェ難民を卒業していた。6畳一間のそこに、布団を敷いて寝転がっていた。窓を開けてタバコを吸い始めたとき、スマホの着信音が鳴った。彼の心は暗鬱な気分でいっぱいだった。あの男たちのことが頭から離れなかったからだ。また借金の催促だろうか。ゆっくりとスマホの画面をみた彼は、以外なメッセージ主に驚いた。
(2人で所有してた土地があるの。名義は2人で二分の一ずつになってる。これは、あなたが相続するべきものよ。改めて手続きしましょう。連絡待ってます)
叔母からメッセージに彼は助かった気がしたが、信じられない思い出いっぱいだった。母さんが土地を持っていたなんて知らなかった。話によっては残りの借金が返済できるかもしれない。今度予定している、あの男たちとの交渉も土地と弁護士がいればうまく行くはずだ。
彼はメッセージを返したあと、すぐに着替えて叔母のもとへ向かうことにした。身体が軽くなったような気がした。捨てる神あれば拾う神あるだ。ついに自分にも幸運がやってきた。
靴を履いて玄関を出た彼を迎えたのは、冷たい空気の笑顔だった。雲が早く流れていたのは、心の風が強く吹いているからかもしれない。ポケットに手を突っ込んで、足早に道路を踏みしめた。彼の口から歌がこぼれた。




