〇〇商会に直談判に行った残酷
繁華街のなかにある雑居ビルの3階に『〇〇商会』という看板をみつけた。彼は急遽田口から休みをもらい、闇金との交渉に出かけた。田口も着いていくと言ったが、彼は一人で大丈夫だと断った。今度行くときは弁護士をつけていけと、田口は一枚の名刺をくれた。『森田弁護士事務所』と書かれたそれは、彼にとっては切り札になりそうだ。今日のところは自分だけで話し合うつもりで、まだその弁護士事務所には連絡をとっていない。
ビルの前で大きく息をした彼は、勢いをつけて階段を登った。『〇〇商会』のドアの前でインターホンを鳴らした。しばらくしてドアが開かれ、あの男たちの一人が顔を出した。男は少し驚いた様子をみせたが、すぐにニヤニヤと笑って無言で彼を招き入れた。
ソファに腰掛けると、その前に男たちが3人座って彼を睨みつけた。彼は萎縮しそうになったが、胸を張って勇気を奮い起こした。
「今日は借金の話し合いに来ました。残額400万弱、期限を設けてしっかり返していきたいと思いまして。こちらとしても先日のような嫌がらせに合っては今後困ることになります。そちらとしても私が仕事を失えば、お金の返済めどが立たなくなるでしょう。お互いに利益のある方法で返済計画を立たせてもらえないでしょうか?」
男たちはしばらく無言でニヤニヤ笑っていたが、一人が口を開いた。
「とりあえず今日、利息分だけでも支払ってもらえませんかね?こちらとしても困ってるんですよ。不良債権は生活を苦しくしますからね」
「ですから、そんな無理を言われても困ると言ってるんです。しっかりと返済計画を立て、法的にのっとった形で無理なく返済していきたいと思います。どうかご理解頂けないでしょうか?」
彼は怒りを隠して頭を下げた。男たちは何も言わず、ソファを立ち上がった。一人取り残された彼の顔は、絶望と怒りに満ちていた。
「また現場に行かせてもらいますよ〜。お楽しみに」
男たちのその言葉に、彼は弁護士に相談するしかないことを悟った。勢いよくドアを開け、足早に事務所を出た。待ってろよ。決着はつけてやる。




