妨害工作で冷や汗、負けるもんか
彼が現場で地ならしをしていたとき、あの男3人組が現れた。男たちは彼に近づき、小声で呟いた。
「早く借金、返して下さい。この現場の人たちにも、あなたに借金があることを知ってもらった方がいいと思うんですよね。その方がもう私達も逃げられることがなくなると思うんで安心出来ます」
彼は作業の手を止め男たちを睨んだ。借金は毎月キチンと返している。なにも文句を言われる筋合いはない。これは単なる嫌がらせだ。こいつらも相当暇なんだな。再び作業を始めた彼の目には、男たちの姿は入ってこなかった。
男たちはそれをみて、わざとらしく驚いた様子をみせ、ニヤニヤしながら現場のなかを歩いて回った。次の瞬間、男たちの怒声が辺りを剣呑な雰囲気にした。
「みなさん!この現場に借金を返さない男が一人働いてます!モラルもへったくれもあったもんじゃありませんね。みなさんも気をつけて下さい。下手するとお金を貸して踏み倒される危険がありますよ〜!」
彼は慌てて男たちのところへ走っていき、睨みつけながらも頭を下げた。
「勘弁して下さい。今、会社を立ち上げたばかりで信用を失いたくないんです。今度、あなた達の事務所へ正式に交渉しに行きますから、それまで待ってもらえませんか?借金は必ず返します」
男たちは現場に転がっていた道具を蹴り上げて去っていった。その後姿をみつめながら彼は、イラツイていた。事件を起こすわけにはいかない。共同経営の田口に迷惑をかけることになる。事務所に話し合いに行かねばならない。




