共同経営するってよ!
数週間後、田口からスマホに連絡が入った。ネットカフェで時間を潰していた彼は、画面を開いてメッセージを読んだ。
(お前と一緒に会社を立ち上げたい。共同経営者にならないか?詳しいことは会ったときに話すが、事務的な問題は俺に任せてくれればいい。考えといてくれ)
共同経営?彼の心はいっきに興奮し始めた。今まで働いたことはあっても、経営に携わったことなんて一度もない。田口は頭が混乱しているんだろうか・・・。この俺に経営者になれと?これは現実なのか。
しばらくスマホの画面をみつめていた彼は、指を動かし返信をようやくした。緊張して震える手が、スマホを揺らした。
(お前、正気か?俺に経営なんて無理だよ。買いかぶりすぎだ。また俺を雇ってくれるんなら、嬉しい話だがな)
すぐに田口から返信がきた。
(お前と楽しくやりたいんだよ。俺からのお願いだ。よろしく頼む)
スマホの画面を閉じた彼は、やる気がないわけではなかった。ただ自信がないだけだ。その時、母親の言葉が頭に浮かんだ。行動してから考えて。行動してから・・・。やるっきゃないか!彼は立ち上がり、ネットカフェを出た。
外の空気は冷たく流れ、彼の頬を叩くように吹いた。これから忙しくなりそうだ。この生活ともおさらばだ。気合を入れ直した彼は、街中を少し足早に歩いて興奮気味だった。鴉が電柱に立って、下をみながら鳴いていた。




