土下座して許してもうらおうなんてバツが悪い
田口が公園に入って近づいてくる。彼は今自分の正体が暴かれたことに負い目を感じて、田口の顔をみることが出来なかった。
彼の前に田口が立った。二人の間に沈黙が流れた。はじめに口を開いたのは彼だった。
「お前に謝ろうと思って呼び出した。お金目当てが全部じゃないが、確かにそれもあってお前に近づいたことを謝りたい。俺は汚い男だ。お前が失望するのは当然だ。友人なんて思ってくれていたお前に申し訳が立たないよ。自分のことで精一杯だったんだ。ごめん」
「・・・・いいよ。俺も悪かった」
田口の髪は、相変わらずボサボサで無精ひげをはやしている様子は疲れ切っていた。生気のない眼でこちらをみつめているが、会社が倒産して相当気力を失っているのだろう。彼はその姿に、今自分がしてやれることを考えた。
彼は突然、田口の前に座り込むと、地面に頭をこすりつけて土下座した。これくらいしか出来ない。何も出来ない自分に出来る唯一の誠意のみせかた。
しばらくすると彼は頭を上げて田口の顔をみた。田口の目から涙が流れていた。夜は深まり二人を包む。二人の友は、夜に怯えながらお互いを慰めた。公園に人の気配はしていない。温かい春が早く来ることを願って、雑草がたくましく背を伸ばしていた。




