友情の裏切りの真相
彼は手紙を携えてネットカフェを出た。夜半の公園で、ベンチに一人座りスマホを開いた。
(田口、今から会ってくれないか?〇〇町の公園にいる。11時までは待つつもりだ)
スマホを閉じ、深い溜息をついた。夜半の公園には一人も人影が見当たらなかった。タバコを取り出して火をつけた彼は、目を閉じベンチに寝転がった。
田口から返信は来ない。来るかもしれないし、来ないかもしれない。自分は今田口にどう声をかければいいのだろうか。また喧嘩になったらどうしようか。そもそも許してもらうようなことを自分がしたか?田口が一方的にすねた態度を取っただけだ。自分は悪くないのではないか。
自分の落ち度を考えていた彼は、田口のお金を目当てにしていたことを負い目に感じ始めた。友情より先に、経営者としての田口に信頼を寄せていたのかもしれない。お金の切れ目が縁の切れ目だと、田口は敏感に感じ取ったのかもしれない。
自分の心に問うてみた。お金が無かったら自分は田口と仲良くしていたか?
答えは残念ながらノーだった。彼の胸に痛みが発生した。友情と思っていた自分の行為が、単なる打算だったからだ。
彼を責める言葉が心に浮かんでは消えていく。汚い存在だった自分は、己を美化していた。友情を無意識に裏切っていた罪は重い。
彼がベンチの上で落胆していると、公園の入口に一人の影がみえた。その方に目をやると、遠くからでも田口だということが分かった。彼はベンチから立ち上がり、田口を迎える姿勢に入った。




