家、追い出されてネットカフェ難民に・・・
2週間後、彼は家を差し押さえられ住むところが無くなった。暫くの間は街中を昼間歩き回り、夜は公園で眠る生活をした。どうにも身体がもたなくなって、ネットカフェに夜はお世話になることにした。いわゆるネットカフェ難民に彼はなったのだ。
幸い借金返済のために貯えていたお金が手元に残っていた。あと1〜2ヶ月はこの生活を続けられるだろう。早く仕事と住む場所を探さなくてはならない。生きるのがこんなにも辛いとは、一年ほど前まではつゆにも思わなかった。
公園でタバコを吸っていると、警察官が彼に近寄ってきた。身分証明書を提示して、警官に事情を話した。
「それは大変ですね。今は生活困窮者を救済するシステムも数多くあります。一度、市役所などを訪ねてみてはいかがでしょうか?命を守るためには助けが必要です」
「・・・ありがとうございます」
警官は去って行った。彼は市役所にこれから行こうかと考えた。タバコを吸いながら、めんどくさいなと彼の悪い癖が出てきた。まあ、あと1〜2ヶ月は大丈夫だ。いざとなったら市役所にでも行って、生活保護の申請をすればいい。
彼は自分が今底辺にいることに愕然としながらも、どこか楽天的だった。風が身体を包む仕草が、将来を約束しているように思えた。命だけは助かる国にいてよかった。もう何もかも忘れたい。




