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差し押さえ通告渡される
ベッドの上でまどろんでいた彼を起こしたのはインターホンの音だった。すぐに頭に浮かんで来たのが借金取りの顔だった。重い身体に言い聞かせるように、ベッドを出た彼は玄関に向かった。
玄関を開けると例の男3人組が立っていた。男たちの顔は浮かれているような、怒っているような、どちらとも判断がつかない怪しい表情だった。彼は会社が倒産したことを伝えようとしたが、その前に男たちが口を開いた。
「勤めてた会社、倒産なさったんですってね。つきましては、この家を差し押さえさせて頂くことになりました。これが書類です。どうぞご確認ください」
「待ってください!この家がなくなったら俺は住むところがなくなります。借金は次の会社がみつかるまで勘弁して下さいませんか?」
「もう決まったことです。どうか書類の確認を」
彼の訴えには耳も貸さず、男は書類を渡してきた。彼は書類に目を通す気にもなれず、焦りと絶望で目の前が真っ暗になった。一体これからどうしろって言うんだ・・・。不思議と哀しみは湧いて来なかった。ただ生きることだけを考え、不安が次々に襲い掛かってきた。
家の明渡し日は2週間後だった。それまでに、どうにかなるか。いや、どうにかせねばなるまい。




