職がなくなっちまったけどファイト
職を失った彼は家に閉じこもり、再びテレビばかりをみる生活に戻った。この半年は忙しかったけど、楽しくもあった。田口とは相変わらず連絡がとれないが、心配してもしょうがないことだった。虚脱感に覆われた彼の心は、マラソンを途中でやめたような苦い感情でいっぱいだった。
彼がボーッとみていたテレビを消すと、スマホの音が部屋に響いた。画面を開けた彼の目に飛び込んできたのは、田口からのメッセージだった。
(今、取引先に謝罪を申し出てるところだ。お前にも申し訳が立たないと思ってる。このまま逃げても何にもならないと決心して、再起に向けて頑張るつもりだ。暇が出来たら会いに行く。それまで元気でいろよな)
メッセージはそこで終了していた。倒産になった今、田口は逃げることをやめたのだ。最後は、自分への気遣いまでもしてくれている。彼は、自分に苛ついた。何もする気がないと、逃避を繰り返すばかりだったから。田口も頑張っている。俺もやらなきゃいけない。でも何を?
彼はスマホにメッセージを打った。
(頑張れよ。俺がついてる)
気恥ずかしくなった彼は、すぐにスマホの電源を落とした。部屋のベッドはいつもより硬く感じた。眠りを誘うことはなかった。目を閉じて、自分がこれから何をするべきかを考えた。




