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あ〜迷うけど借金の肩代わりは・・・
田口と二人缶コーヒーを飲んだ彼は、借金の肩代わりを申し入れてきた気持ちに思いを馳せた。本当は飛びついてこれを受け、楽な生活に戻りたい。でも田口の会社が危ないことは聞いている。そんな田口に借金の肩代わりまでしてもらうことには強い罪悪感を覚えた。彼の心は損得勘定でいっぱいになった。ここで断ったら一生後悔するかもしれない。受け入れたら自己嫌悪の穴に深く入り込む気がする。
「なんで肩代わりしようなんて思ったんだ?」
「お前が一生懸命働いてくれるからだよ」
これを聞いた彼は、田口は人が良すぎると思った。自分が一生懸命働いてると思われている、内心では早く楽になりたいと思っているギャップを田口は知らない。買いかぶりすぎだ。いつ辞めて会社を裏切るかも分からない男。それが自分だ。
「断るよ。借金は俺の問題だ。お前が入る余地はないよ。気持ちは嬉しいけどね」
「・・・そうか。悪かったな」
田口と彼は視線を遠くにおいていた。決してそれが交わることはなかった。空き缶が風に吹かれて転がっていく。カラカラと音を立てながら転がる缶は、二人の運命をみせているような気がした。




