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倒産するかもって告白された夜
午後10時を過ぎた頃、田口の顔つきが何やら神妙になってきた。それをみて彼の心は落ち着きがなくなった。どうかしたんだろうか?自分と飲んでもつまらなかったのか・・・。彼は何か面白いことでも言えればいいのにと思いながら、何も思いつかず沈黙が続いた。
田口が突然口を開いた。
「実はな、会社ヤバいんだ。もしかすると倒産するかも知れない」
この言葉に彼の酔いは一気に醒めた。え?田口の会社が潰れるなんて、あんなに仕事あるじゃないか。彼は会社経営のことが分からず、単純なことしか考えられなかった。
「俺、クビになるの?」
彼の言葉は思いやりというよりは、自分の生活の心配でいっぱいだった。田口は冷静に一口酒を飲み、彼をみて笑った。
「だいじょうぶだ。クビってお前何も悪いことしてないだろ。責められるのは俺の方だよ」
田口を責める気には彼はなれなかった。むしろ感謝の念でいっぱいだ。今日だって、二人で飲んでいることが嬉しくてたまらない。彼の気持ちを伝える前に、田口の心を慰めようとしたが、気の利いたことがみつからなかった。




