仕事、認められたら嬉しいワイ
「今日のお前の仕事は早くて丁寧だったな。お疲れさん、明日もよろしくな」
「えっ!そうすか?あ・・・お疲れ様でした」
ついこの間まで彼に怒号を浴びせていた職人が、仕事を褒めてくれた。悪い気分はしなかった。いや、むしろ嬉しかった。仕事なんて適当でいい、そう彼は人生でずっと思ってきた。仕事に夢中になっている大人の気持ちが全然わからなかった。誰のために?なんのために一生懸命がんばるんだろう。彼の仕事に対するスタンスは投げやり一本道だったのだ。
彼はそれから自分なりに仕事のことを考えるようになった。どうやれば早く丁寧になるのか。他の職人の仕事を観察するまでになった。
なるほど。ああやれば、早く済むんだな。
新しい仕事の発見が彼の目に入るようになった。分からないことがあれば、進んで自分から質問することも増えた。職人たちは厳し気に、しかし優しく教えてくれた。
「ありがとうございます!ここ、ずっと考えてたんすよ。やり方も色々あるんすね」
「おうよ。俺達の若い頃は教えちゃくれなかったから自分で考えたもんさ。それが身につけば、自分なりの仕事が楽しくなるってもんよ」
その日、彼の家路につく足取りは軽かった。仕事が楽しい、そんな自分が少しだけ誇らしかった。大人にようやくなれた気がした。夕暮れが彼の成長を笑ってる気がして、照れくさい気分になった。




