14/50
コンビニ弁当が楽しみでして
即日現金手渡しの給料だけが彼の救いだった。夕方になるとそれを握りしめ、彼はトボトボと家路についた。そうして母親の通帳に千円だけ抜いて、残りを全部挟むことを習慣とした。
日に日に通帳の間に挟まれた札束は分厚くなっていく。それが一つの楽しみでもあった。
だいぶたまってきたな。これであといくら稼げば900万返せるんだろうか。彼は残りの借入金の額に気が遠くなりそうになったが、今はそんなことは言っていられない。
「お疲れさん。今日の分だよ」
その日、彼はまた現金を受け取った。
毎日、千円分の買い物をしにコンビニに立ち寄ることが楽しみだった。
自動ドアが開くと、彼の汚い服装に少し周りの客が振り返る。彼はそんな仕草にも慣れ、何食わぬ顔でコンビニに入っていった。
ハンバーグ弁当630円。彼はそれをじっとみつめた。今日の飯はこれにしようか。残りの金で飲み物を買っておしまいにしよう。
レジを済ますと、店を出た。辺りは暗くなっていた。今日も一日が終わった。なんとか乗り越えていく感覚が、彼を不安と満足の波にのせた。




