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そうだ、田口に面接してもらおう
翌朝、彼はベッドの上で目覚めると田口から名刺をもらったことを思い出した。
このまま生活が成り立たなくなるのを待っていることは出来ない。彼の手は自然とスマホに向かった。もらった名刺を探し当てて、それをみながらスマホに電話番号を打ち込んだ。
「田口、おはよう。今からお前の会社に行っていいか?実は面接をしてもらえたらいいと思ってな」
「ああ、そういうことか。分かった。ちょうど人手も足りてなかったところだ。」
彼は電話を切って身支度をはじめた。
玄関を出ると、名刺に書かれていた住所に向かってバスに乗った。
ビルの二階に事務所があった。田口建設と窓に会社名が貼られている。彼は恐る恐るドアを開いた。事務員が一人いるだけの、がらんとした部屋が印象的だった。今は職人たちが出払っているせいだろうか。
「お話は聞いております。少々、奥の部屋でお待ち下さい」
事務員の女が彼に声をかけてきた。彼は奥の部屋に通され、そのままソファに座って田口を待った。




