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アビス・グランブルー 〜クラン追放された最底辺ダイヴァー、わたしはやめたくなかった〜  作者: ロートシルト@アビス・グランブルー、第5章更新中!
第4章 居場所

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第76話 四人揃っての海へ

 潮騒の宴の三人の前に立つと、

 ニーナが真っ先にナナミの装備に目を留めた。


「……あれ?」

「ナナミちゃん、装備……新しくなってるね……?」


「……はい……!」


 ナナミは、少し照れながら頷く。


 すると、横からホープが身を乗り出した。


「あっ! それ、スケイル・フィッシュの素材だよね!」

「この前、俺運んだやつ!」


「えっ……?」


 ニーナが目を丸くする。


「ナナミちゃん、ホープと二人で……?

 私には声掛けてくれなかったの……!?」


「ち……ちがうよニーナさん。一人で潜ったとき帰りにたまたまホープさんと会って、ホープさんが荷物運んでくれたの……」


 そう言って視線を逸らすナナミにグレイスが穏やかに笑った。


「ブロンズ級、昇格おめでとう。ナナミちゃん」


「……!」


 胸が、きゅっと鳴る。


「……ありがとうございます……グレイスさんが昇格推薦してくれたって、聞きました」


「ふふ」


 グレイスは、軽く肩をすくめた。


「ブレイカーには声を掛けたけどね

 実際に昇格できたのは、ナナミちゃんの実力だよ」


「……!」


 ホープも、うんうんと大きく頷く。


「そうそう! この前もさ、ナナミちゃん

 深いところまで潜って、スケイル・フィッシュ倒してたんだよ!」


「俺が港で釣りしてた時に、ちょうど上がってきてさ!

 本当だよ、ニーナ!」


「ええっ……」


 ニーナは、驚いたようにナナミを見る。


「……もう、そんなに潜ってるの……?」


 ナナミは、少しだけ迷ってから答えた。


「……その依頼の時に最大で……深度165くらい、です……」


「そりゃブロンズ級に問題なく、なれるよね!」


 ホープは笑いながら自分のことに喜ぶ。


 その空気を切り替えるように、

 グレイスが依頼板へと視線を移した。


「さて……今日の依頼、どうしようか」


 ホープが、指差す。


「この辺は?」

「採取系が多いね!」


 グレイスは、いくつかの依頼書に目を通し──

 一枚で、動きを止めた。


「……ん」


 依頼書を、じっと見つめる。


「鉱脈調査か……」

「内容は良いけど深度230……ちょっと深すぎるかも」


 その呟きに、ナナミの胸が跳ねた。


 ──深度230。


 そして、依頼内容の一文。


《副次目標:

 白銀鉱が混じる可能性あり(確率低)》


「……」


 ナナミの視線が、そこに吸い寄せられる。


 気づけば──

 口が、先に動いていた。


「……行きたい、です……」


「……え?」


 三人が、同時にナナミを見る。


 グレイスは、少しだけ眉を寄せた。


「ナナミちゃん……深度230は、まだ……ブロンズ級になったばかりのナナミちゃんには、荷が重いかもしれない」


 その言葉に、ナナミはぎゅっと拳を握る。


 でも──


「……!」


 ホープが、すっと一歩前に出た。


「でもさ!ナナミちゃん、もう165まで潜ってるんだよ!」


「しかもソロで! スケイル・フィッシュも討伐してる!」


「だから……きっと、行けると思う!」


「ホープ……」


 グレイスは、少し考え込むように目を伏せる。


 ニーナは、黙ったままナナミを見ていた。


 その視線は、責めるでもなく──

 試すでもなく。


 ただ、静かに“見極める”ようで。


「……」


 やがて、グレイスが息を吐いた。


「……わかった。これを受けよう」


「ただし」


 真剣な声。


「ナナミちゃん、無理は絶対にしないこと

 魔力が辛くなったら、すぐ言って。判断は私がする」


「……はい……!」


 ナナミは、深く頷いた。


「ありがとうございます……!

 ……頑張ります……!」


 その様子を見て、ニーナがふっと微笑む。


「じゃあ、決まりだね」

「今日は、鉱脈調査だ」


* * *


 受託手続きを終えた四人は、

 揃って港へ向かう。


 潮の香り。

 きらめく水面。


 ダイヴの準備完了し、ナナミは海の前で胸いっぱいに息を吸った。


(……白銀鉱……)


 期待と、不安と。

 その両方を抱えながら。


(落ち着いて)

(今日は“探す”日よ)


 アストラルの声が、静かに響く。


 ナナミは、ゆっくりと頷いた。


「……行ってきます……」


 潮騒の宴。

 四人揃ってのダイヴ。


 深度230を目指して──

 新しい海が、待っている。


──続く。

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