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アビス・グランブルー 〜クラン追放された最底辺ダイヴァー、わたしはやめたくなかった〜  作者: ロートシルト@アビス・グランブルー、第四章も毎日20時更新!
第三章 アイアン級

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第五十話 青き戦場

 海に身を投げた瞬間、冷たい水流が全身を撫でた。


 視界は青く深く沈み、周囲には無数の気泡が尾を引いて落ちていく。


 私の少し前をホープさんが泳ぎ、左右にはニーナさんと私。


 三人で自然と、前衛ホープ・左右にナナミとニーナの陣形ができていた。


(ナナミ。自分の距離を保って。焦らないように)


(うん……!)


 腕のアームガードを握り直し、潜海証に視線を落とす。


 ──深度38……39……40。


「あと半分……っ」


 その瞬間だった。


 前方の暗がりが、ぞわりと揺れた。


 黒い影が、幾重にも折り重なるように──こちらへ向かって来る。


「……っ、あれ……全部……海魔……!?」

 思わず声が震えた。


 数は──ざっと50。


「オーガ・カサゴが多数!」

「シェード・フィッシュも来てる!」

「サージ・オッターまで混じってやがるぞ!気をつけろ!」


 周囲のダイヴァーがざわつく。


 オーガ・カサゴ──毒をもつ小型の厄介者。


 シェード・フィッシュ──動きが速くて、視界をかき乱す魚の海魔。


 サージ・オッター──突進を繰り出す中型種。ブロンズ級でも危険だと噂の相手。


 海の奥で膨れ上がるような恐怖に、私は喉が鳴った。


(凄い数……怖い……)


 だが、次の瞬間──


 海が震えるほどの重く響く声が届いた。


『全隊、聞けェッ!!!』


 バルバスさんの魔力を帯びた声だった。


『サージ・オッターはブロンズ級が優先して当たれ!

 各隊、隊列を崩すな! 飲み込まれるぞ!』


 その声だけで、胸の奥の恐怖が少しだけ薄くなる。


(ナナミ。あなたなら出来るわ)


 アストラルの囁きが、心臓の奥に灯をともした。


「……うん。行く!」


「来るぞ!」

 ホープさんが槍を構え前へ出る。


「ナナミ、右から来るシェード任せて!」

「了解ッ!」


 前衛ホープさんの両脇で、私とニーナさんが散開した。


 群れの先頭──影が牙を剥き、迫る。


「はあぁッ!!」


 私はスピアーランスを握り、一撃でオーガ・カサゴを貫いた。


 手応えは軽いが、油断はできない。


「ナイス!ナナミ!」

 ニーナさんが横で短刀を振るい、シェード・フィッシュを二体連続で切り裂いた。


「まだ来るぞッ!」


 ホープさんの声が響く。


 彼は迫るサージ・オッターの突進を紙一重でかわし──


 両手槍で交差するように、その胸元を刺し貫いた。


 サージ・オッターが崩れ海晶核を吐き出す。


「よし……!」


 その戦いぶりを見ていた後方のガンツさんたち。


「……あの子、やる」

 ルキアさんが感心したように目を細める。


「ナナミちゃんの動きに、ウチのホープとニーナも触発されていい動きしてるな」

 ガンツさんも笑みを漏らした。



 戦闘は激しく続く。


 周囲では経験の浅いアイアン級ダイヴァーが毒持ちオーガ・カサゴに囲まれ悲鳴をあげていた。


「た、助けて──!」


「あっ……!」


 私はすぐさま身体を反転させ、スピアーランスを構える。


「大丈夫っ……行きます!」


 鋭く踏み込んで、オーガ・カサゴを連続で三体撃破する。


「あ、ありがとう……っ!」

「大丈夫!落ち着いてください!」


 助けたダイヴァーが震えながらうなずく。


(ナナミ。よくやったわ)


(うん……!)



 そして──


 最後の一体を撃破した。


 第一波、約50体。


 全て撃破。


「はぁ……っ、はぁ……っ」

「やったぞ!全員無事だ!」

「次が来る前に海晶核を確保だ!」


 周りのダイヴァーは息をあげている者もそれなりに居た。

 

「ナナミちゃん、すごく活躍してた……!」

「ニーナ、ナナミちゃん、まだ行けるか?」

 

「はい……!」


 三人で呼吸を整えながら隊列を整え進むと──


 暗闇の奥で、何かが大きく蠢いた。


 海流が強く揺れ、無数の影が形を成す。


「……っ、また……!」


「第二波だ!!」

「サージ・オッターが増えてるぞ!」

「全員、構えろーッ!!」


 大規模な第二波が、こちらへ迫り始めていた──。


──続く。

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