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第五話 テロの全容

<<<注意>>>

話の細かい部分は一から考えて執筆しているので更新頻度は遅いです。

「この部屋が指令室だ。入ってくれ」


 ラガセーの案内で指令室まで連れてこられた。

 指令室内ではテロの対応に追われて人員の動きが忙しかった。

 そして目立つように、指令室の中央にはホロプロジェクターが作動している。そこには大きな館が映し出されているのだった。

 ラガセーは五人をホロプロジェクターの周りに並ばせた。


「集まってくれて感謝する。改めて自己紹介をしよう。サドニア共和国政府直属第三警備部隊隊長のラガセー・サンラックだ。今回起きたテロの対処に全権を委ねられてる」


 さっきまでは周囲を呆れさせる程の一面を見せていたが、もはやその面影はどこにも見られない。

 冷静沈着な指揮官として立っていたのだ。


「今映っているこの館は惑星サドニアを象徴するプレスマ迎賓館だ。普段は使われていない館だが、昨日の未明から来賓の方々を招いて30人規模のパーティが開かれていた。パーティは内密に催されたので、我々は最低限の警備を配置していたのだが、そこをテロの実行犯である『アギュネスト』に狙われてしまった。奴らはパーティに参加していた議員を人質にとって、拘束されている仲間を釈放するように要求をしている。交渉の期限はあと三時間といったところだ。それまでにテロリストを制圧して人質を全員救ってほしい。ここまでに質問があるなら受け付けるぞ」


 一通り説明し終えると、ラガセーは五人を一別する。


「『アギュネスト』はサドニアを中心に活動するテロ組織のようですが、勢力規模は年々縮小してます。報告によると組織は崩壊する直前のようですが、あなたが所属している警備部隊が対処できない余力を残していたのでしょうか?」


 データパットを手にしたルオウが強気に前に出た。

 些細な質問だったが、周りの空気がピリつくのだった。秘匿情報をルオウは知っていたのだ。

 

 

「どこから持ってきたのか、なかなか痛いところを突いてくるな。――やっぱりお前のところには優秀な部下が多そうだ。”人を見る目”も健在か」


 感心したように口角を上げながらも、瞳の奥で鋭くルオウを睨みつける。

 

「これくらいは許してやってくれ。俺もまだ全容が把握できていないんだ」

 

 真面目なトーンで話すクレイバーに対して何も言い返せなかった。


「わかったよ。――質問に対しての答えだが、それはまずありえない。『アギュネスト』の本拠地は壊滅させて武器も人員も十分に残っていない。どこか別の組織が手を貸してはいるのだろうが、その情報は掴めてない。確実な情報として話せるのは、協力者には第二警備部隊隊長を殺せる実力があるくらいだ」

「了解しました。お答えくださり感謝します」


 ルオウは一歩下がるのだった。


「それってどのくらいの実力があるんだ?」


 クラウドは周りには聞こえないくらいの音量でルオウに話しかけた。

 確認よりも、興味本位で聞いた意味合いの方が強い。クレイバーとラガセーが話しているのをそっちのけだ。


「難しい質問ですね。・・・・・・身近な例で挙げるなら――サクラと同じくらいで考えれば問題ないでしょう」

「実戦ではどうか知らないが、あいつの射撃訓練の成績はいまいちだったろ。例としては不適切だ」


 挑発めいた言葉に、彼女はすぐさま視線を返した。


「――あら、あなたよりは戦えるわよ」

「なら後で試してみるか」


 互いの視線がぶつかり合って一瞬、火花のような緊張が走る。

 すぐにでもぶつかりそうな勢いだった。


「落ち着いてください。今は作戦会議に集中しましょう」


 喧嘩腰の二人を、ルオウは割り込んで制止する。本題に意識を持ってこさせた。


「――内部に裏切り者か内通者がいる可能性は考えたのか? 情報管理を怠っていないのなら、必ず議員か警備部隊の中にいる。もしかしたら、この場にいるかもしれないだろ」

「その可能性も考えて部下に調査させてあるから、結果が出たら報告する。本当は俺達だけで解決するべきなんだが、人質を無事に救出するにしても相手の実力が未知数なことからも、部隊を投入しても全員は無理だっただろう。呼びかけにすぐに応じてくれて本当に感謝している」


 ラガセーは深々と頭を下げた。


「困っている友を助けるのは当然のことだろ。それに共和国の情勢が悪化している中で、このようなテロを毎回許してしまっては、共和国の崩壊に繋がりかねない。俺達に任せておけば大丈夫だ」


 クレイバーの目には揺るぎない信念が宿っていた。

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