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3/10

愛しの王太子は乙女ゲームのヒーロー


あの騒ぎの後、

俺は声の主と思わしき令嬢を見つけ出した。




女、というより人嫌いで有名な俺が

声を掛けたことに、

ホイーニ・マードック子爵令嬢と名乗った彼女は、

照れて顔を赤らめつつも、ひどく困惑していた。


「ねぇきみ、単刀直入にきくね

転生者かなにか?元々、日本人だったりする?」


にこっと問いかけると

赤かった顔が真っ青になり震え出した



「えっ……あっ、あのっ……えっ……??え?

……どうしてっ……」



ビンゴだな


「時間が惜しいから、きかれたことにだけ答えて?」



そう。時間が惜しい。

俺にはヴィンス以外に割く時間は必要ない。



「……っはい、そうです……

でもあのっ……ストーリーを変えないことを条件に…転生、させてもらって…

なのであのっ……これ以上は…」


なるほどな


やはりここは乙女ゲームの世界

そして、俺のスペックやマードック嬢の言動から察するに、俺も攻略対象とやらであろう


……は?

ふざけんな


今の俺の存在が、

俺のヴィンスへの愛が、

あるべきものじゃないとでも?

間違ってるとでも?





「そっか。驚かせてごめんね。」


「あっ……い、いえ……」


俺の取り繕った微笑みに

見惚れているマードック嬢を視認した瞬間ー


「アーティ。」


愛しい声がきこえると同時に

腰を抱き寄せられた


「…ヴィンス殿下」


「君が私以外と談笑中なんて、

なにかやむを得ない問題でも起きたのかな?」


「いえ、もう執務室に戻るところでした」


「… ふーん、そっか。

アーティ、学園内では他の生徒がいても敬語はいらないよ?」


「…ですが、」


「ふふっ、いつも2人だけでいるから、

こんなこという機会なかったね 」


くすくす と楽しそうに笑うヴァンス。可愛い。



「……あぁ、きみ、もういっていいよ」


マードック嬢に少し冷たい目を向けるヴァンス。

色っぽくて可愛い。



「……っし、失礼しました……!!」


ほら、冷たくされたのに、マードック嬢も喜んでる



「アーティ。君の笑顔は、僕以外には勿体ない。」



俺の頬に手を添えてそう嘆くヴァンスの瞳からは

怒りと哀しみを感じる


ヴィンスの俺に向ける独占欲ー


幼馴染だとか、側近としてだとか、

そういうものだとしても、この上なく気持ちがいい



「俺のすべてはヴィンスのものだから、

そりゃそうだ。」


出逢ったあの日のような

ふわっと柔らかい笑顔をみせるヴィンス


この笑顔も、この上なく愛おしい




おそらくあのヒロインと思わしき令嬢、

あいつがヴィンスの運命の番なんだろう


そして悪役令嬢と思わしき婚約者のベアトリスと

取り合う



俺のヴィンスを……?


上等だ


俺の愛しいヴィンスを

俺がくれてやるわけがない



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