もしかしてヒロイン?もしかして悪役令嬢?
そんな俺とヴィンスも17歳になり、
俺は王太子の側近補佐官として
ヴィンスの傍で仕事をしつつ、
幼馴染として共に学園に通っている。
この世界には、魔法が存在する。
戦闘などに向いてるものではなく、
暮らしを便利にするようなちょっとした魔法だ。
人によって使える魔法の系統が違うため、
この学園で学びつつ、
覚えた魔法は学園を通して国に管理される。
そして、
ここはオメガバースの世界でもあるのだ。
今日は、バース性を学園全生徒が知らされる
検査結果報告日。
「はぁ…」
「アーティ、不安?」
にこっと微笑むヴィンスに
不安は余計に募る。
だって、こいつ α だし。
王族は、一足先に検査を受ける。
その結果、ヴィンスはやはり α 。
そしておそらく俺は、Ω ではない。
17歳で一斉に検査するのは、
なぜかこの時期には皆バース性がわかれるから。
事前になんらかの症状が出たものは、
別途 診断してもらい既に診断済みだったりする。
そして俺は今の今に至るまで、
何ひとつ症状が出ていないのだ。
発情することもなければ、
匂いを指摘されたことももちろんない。
この検査を受けて診断がくだされるのは
大体が β 。
そう、これは念の為の検査というようなものだ。
そもそも Ω なんて学年に1人いるかいないか程度。
あぁ、やだな。本当に。
もしも、俺が Ω じゃないなら、
ヴィンスの運命の番が他にいるってこと。
そんなことがあったら、俺、
ヴィンスをそいつをみつける前に絶対に殺す。
だけで済むはずがない。
そいつが死んだって気なんて済むわけないんだ。
俺の運命がヴィンスと繋がるまで、
何度だって転生を繰り返す。
転生できるって知っちゃったし。
…それでも足りねぇ。
「アーティ?」
その騒ぎは、
ヴィンスの麗しい声が俺の名前を呼んだ瞬間におきた
「Ω のヒートだ…!!」
「α は離れろ…!」
「保険医は?!あ!いた!こっちです!はやく!!」
令嬢達に囲まれ、
発情薬をぶっかけられ、
ヒートをおこした騒ぎの中心の女の子をみて、
俺は、なぜかこう思った。
え、あれ、ヒロインってやつじゃん。
肩にかかるくらいの金髪ボブに
白いカチューシャ
くりくりとしたピンクの瞳に、
ガヤから聞こえる 伯爵家の養子の元平民という声
Ω というバース性
なにより、
発情薬をぶっかけたであろう令嬢達の中心
濁った血のような深紅の巻き髪を垂らし
耳の上には細くて黒いリボンで団子を造り束ね、
同じく深紅の瞳で、睨みつけている
そう、彼女は
ベアトリス・ト・ベイリ公爵令嬢
ヴィンスの婚約者だ。
つまり、悪役令嬢ってやつじゃん。
その思考をすぐに否定しようとした俺の耳に、
とんでもない言葉がはいってくる。
「このイベント、リアルでみるとむごいな。
ゲームではさらっとしてたけど…」
あぁ、なんだ。
俺の他にもいたんだ。転生者。
そして俺は、知識がなくて気づかなかっただけで、
どうやらここは乙女ゲームの中。
そして、俺の愛しい人は、
そのゲームのメインヒーローといったところか。