2話
昼食を終えて
ルイーズは来客に備える。
そろそろ低学年の子供たちが
授業を終えて帰ってこようかという午後。
ティモシー・ロズウェルが
秘書をはじめとするスタッフ数名と
いつものように来訪した。
「ようこそおいでくださいました
お忙しいのに いつもありがとうございます」
ルイーズ施設長と
リディア他数名のスタッフが
玄関で出迎えた。
「お邪魔します」
見るからに上質の
ダークグレーのスーツに身を包んだ
長身のティモシーとその一行が
施設内に足を踏み入れる。
「さあ どうぞこちらへ」
ルイーズがいつものように応接室に案内する。
室内には
ティモシーと秘書
ルイーズとリディアの4人。
部屋の中央に
古いながらも
艶のある長方形のローテーブルと
それを囲むようにソファが置かれている。
ルイーズが
「おかけください」
と勧め
全員が着座すると間もなく
「まずはこちらをお納めください」
秘書が封筒に入った小切手をテーブルに置いた。
「ありがたく頂戴いたします」
「何か不都合はありませんか?
施設の補修や子供たちの学用品など
お困りではありませんか?」
秘書からの問いかけに
ルイーズが笑顔で答える。
「いいえ
いつもお気遣いありがとうございます
おかげさまで不自由なく生活できております」
「それは なによりです」
ティモシーがそう言い終えたと同時に
ドアをノックする音が聞こえ
リディアと同じ年のアニーが
お茶を運んできた。
「ご紹介がまだだったかもしれませんが
彼女はアニーと申します
リディアと同じく
子供たちの学習担当です」
「アニーと申します
どうぞよろしくお願いいたします」
「ありがとう
どうぞよろしく」
美形のティモシーに声をかけられ
頬を染めてアニーが退室した。
「今日 お伺いしたのは
他にも理由があり…」
そこでティモシーは
リディアに視線を移す。
「君にお願い…というか相談がある」
「わたし…ですか」
突然
ティモシーの碧色の瞳に見つめられ
全身の血液が逆流したように
リディアは真っ赤になって呟いた。
「失礼だとは思うが
君…恋人は?」
「はぁ?
なにを…」
あまりに突然の個人的な質問に
呆気にとられたリディアは
思わず眉をひそめて
赤くなった顔色が
覚めていくのを感じながら
ティモシーを凝視した。