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プロローグ
『お約束します、リリヤ様。私は、あなたのナイトです。必ずそばにいて、あなたを守ります。』
「嘘つき………。」
窓の外、降りしきる雨を眺めながら、リリヤはつぶやいた。
彼女のナイトこと、セナ・シンシアティ家の若者タクが旅立って、もう2ヶ月。行き先は、北のガリルド山と、その麓の街シリル・ガリルド。
「こんなに離れてて、どうやって私を守るって言うの?」
リリヤは、本当はわかっている。タクが、好き好んで行ったのではないことを。決して、嘘つきでないことも。
だけど、どうしても納得いかないのだ。今、ここに、タクがいない現状が。
「早く、帰って来て………。」
いくらつぶやいても、応える者はいなかった。ただ、降りしきる雨の音のみ………。