第一の夢 夢と現実
ヒロインの初登場回です!
週一投稿続けていきます。
感想お願いします。
朝8時、学校に向かう通学路を一人走る高校2年の男がいた。パンを口に咥えていて、制服もボタンを一つ掛け違えている。そう。この男が今作の主人公。
「俺は鷹下英伸 17歳。
私立浜丘学園に通っている高2。」
「俺の夢は彼女を作り結婚をして、子供を作ること。」
「だが、今のところはちなみに彼女はいない。(彼女いない歴=年齢ってやつだ)もう一度言う彼女はいない。」
そしてさらに追い討ちをかけるような
あの悪夢を見てから約30分。
あれから変わったことは特にはない。
春の陽気が感じられる4月、新学期始まって数週間。
桜が風に吹かれて街路にピンクの花びらが舞っている。
「いってらっしゃーい。」
「んーーー。」
近所のおばさんからいつも通りの挨拶だ。
これが、付き合い方の模範解答だと勝手に思っている自分。
「ってそんなこと考えてる場合じゃねぇー!!」
「や、やべぇー急がねぇと遅刻するー!はぁ、はぁ。」
息が上がり、顔も赤くなる。体力には自信があったがパンがあるから息がしにくい。
学校の遅刻を防ぐために走るスピードをあげようとした
その時、後ろから勢いよくタックルをくらった。
俺は倒れ込み歩道に勢いよく手をつく。
「ふ、ふが・・・何しやがる!!」
「やぁ!おはよう、ひでっち。」
「こいつは石神爽。
俺と同じクラスの同級生。
名前にも爽やかという字が入っていて見た目も爽やかで
THE爽やか、しかもイケメン。(うぜぇー!!)
なんでもできるスーパーマンに見えるこいつだが、
ひとつだけ欠点がある。そう、朝に弱い!!
だから俺はこいつには負けてない!」
(変なところで負けず嫌い発動。)
「爽なにしやがる!?」
「ははは、俺が何しようとしてるかわからないか?」
不気味な笑い声だ。何かを企んでいるのか?
それともただかまってほしいだけなのか?
わからない。
「ひでっち、今なんで急いでるんだ?」
「なんでって遅刻・・・。」
悟った。こいつは遅刻常習犯だった。
そして不気味な笑い声、全てが繋がった。
「て、てめぇまさか・・・。」
「そう!一緒に遅刻しよう!」
「そんなことを爽やかに言うんじゃねぇ!」
急いで学校へ逃げるように走る。
「ま、待てよー!」
キーンコーンカーンコーン。
ホームルームの終わりを告げるチャイムがなった。
急いでいた男2人は学校の教室でチャイムを聞いていた。
「セーフ・・・。ギリ間に合ったぜ。」
「結局お前も間に合ったのかよ。」
「へへへ・・・俺の足を舐めないでもらえるかな。」
「それなら毎回のように遅刻してくるなよ。」
馬鹿らしく感じて思わず笑いが出る。
「おーいひでー。」ふと女の子から呼ばれる。
可愛らしく、大人っぽい声。
ロングヘアーで透き通ったような髪、サラサラでいい香りがする。なにより肌が白くて巨乳。この点が素晴らしい。(決していやらしい意味ではない。)
「この子の名前は瀧本架純
同じクラスで、中高の時からの友達。
クラスでは人気者で可愛いと他クラスや他学年から
噂がたつほどだ。」
「ひでー!あなたまた、私のこと
エッチな目で見てたでしょー!!胸ばっかり見て。」
「み、見てねぇよ!!!」
思わず目を逸らし、顔を赤くして言う。
「ひでってわかりやす〜い。」
何も言い返す言葉が見つからなかった。いや、言い返せなかったの方が正しいな。
今まで黙っていた爽が急に
「なぁーー。」
ふと前を見ると不思議そうに俺を見る爽がいた。
「・・・。なんだよ?」
何を言われるか少し不安になったが、話し始めた。
「なんでいつもは遅刻しそうな時間には
登校しないひでっちが今日は遅刻しそうになってたんだ?」不意にきた質問に少しドキッと体がゆれ驚きが隠せない。
「確かにねー。ひでって普段ホームルームが始まる
10分前には席についてるもんね。」
「べ、べ、別になんとも。」
焦りすぎて噛みまくってしまった。
一度下を向き目を合わせる。
2人に目を合わせると同時にもう一度俺に聞く。
「ど・う・し・て!!」
「だから、なんともねぇよ。」
「うそだな。お前嘘つく時下向くだろ。バレバレ。」
「そうだよ。ひでの癖、私たちには見え見えなんだから。」
(こいつらに嘘はダメだ。余計にことが重くなる。)
「く・・・こいつらには夢のことを話すか?
だが、こいつらに言っても大丈夫か?」
色々な考えが頭をぐるぐると駆け回る。
全神経を集中していろんなパターンを割り出し、
考えた結果・・・・・・・・・。話すことにした。
中高と一緒の学校で、俺の性格や行動を知り尽くしている
こいつらには騙し通せないと思ったからだ。
「実はだな・・・。」
今日見た夢のことをありのままに話す。
「ぷ、ぶははは!」
「なんで笑ってんだよ。」
「なんでって夢で見たじいさんが一人で奥さんや子供も
いないまま死んでいてそれが自分の将来でその後、
誰かわからない女の子が出てきて
ここの高校の制服を着てたから
その子から手がかりを探すだぜ。
そんなのありえるわけねぇだろ。所詮、夢だぜ。
予知夢でもねぇんだから。」
予想通りの答えに驚きもしなかった。
「そう言われると思ったよ。」
「誰も信じるわけないよな。こんなわけわからない話。」
少し暗い様子で言う。少しは信じてくれると思っていた
自分を返して欲しい。
「最後まで聴いてくれただけうれしかったよ。
ありがとう。」
今まで黙っていた架純が話し出す。
「・・・・・私は信じるよ。
ひでは嘘をつくような人じゃないもん、
何より下を向いてなかった。
目を見てしっかり話してた。それが証拠。
手伝うよ、夢に出てきた女の子探すの。」
突然の返答を理解するのに5秒はかかった。
理解すると同時に驚きと感動が溢れてくる。
涙が出そうな勢いだ。
「マジで!?ありがとう。やっぱりもつものは友達だな。」
「調子のいいやつ。(笑)わかったよ、
俺も部活がないときは探すよ!」
「よし、早速今日の放課後探すぞー!」
まるで小学生のテンションで言う。
「おーー!」と勢いよく答える2人。
6限のチャイムが鳴り、夢に出てきた女の子を校舎内で探す3人。
「よし、始めるか。」
「うん!」
「爽、今日部活は?」
「なし。だからここにいるんだろ。」
「そりゃそうだ。」
「で、手がかりあんのかよ。」
「あ。」
張り切って探すと言ったものの手がかりが
これっぽっちもなかった。
さすがはバカだと自分で実感する次第であった。
「あ。じゃねぇよ。なんかないのかよ?」
夢の中に出てきた女の子を思い出す。
「あ、そういえば香水・・・香水の香りがした。
ほんのり甘いフローラル系の、男心をくすぐるような匂い。
後、ロングヘアー!」
びくっ!架純の肩が揺れる。
「どうしたー?」声をかける英伸。
「なんでもない。」微笑を浮かべて返答する。
「ならよかった!」
「それだけか!?」驚いた様子の爽。
そう、自分でも分かってはいた。
これだけでは見つけようがないということを。
分かってはいたんだ。
「疑問に思ったんだけどよ、
その夢はもう一度見れないのか?
もう一度見れたなら手がかりをもう少し
手に入れることができるだろ。」
「そ、それだ!!
(なんでもっと早く気づかなかったのだろう。)」
勢いよく回れ右をして、
陸上選手並みに美しいクラウチングスタートの構えを
していた。
「今日はやっぱ探すのをやめてもう一度あの夢を見れるか
確かめてみるわ!」
颯爽と走り出し、校舎を出て家に帰る。
「はぁ・・・。鉄砲玉だなぁー、あいつは。」
「それとバカでマヌケだ。よし、俺も帰ろー。」
「帰ろーぜ瀧本さん!」
「あ、私・・・用事思い出した。ごめん、先帰ってて!」
「そうか、オッケー!」
廊下の窓から夕焼けの光が彼女を照らしていた。
彼女は少し顔を赤くしてこう呟く。
「なんだったんだろうあの話、そしてあの時のひでの顔。
本当に私・・・。ひでのバーカ。」
午後23時、俺は自分の部屋であの夢を見る前に立てた仮説と今の現状、そしてなぜ仮説を立てたのかを改めて
書き表していた。
「俺が以前立てた仮説はこうだ。」
「見たいと思った自分の将来に関わる夢を寝る前に
具体的に想像する。」
「そして、寝ると想像した見たい夢が見れる。」
「だが、なんでも見れると言うわけではない
過去のことや絶対にありえないことは見れない。」
「例えば、過去に好きだった女の子に告白する。とか
有名人と恋人関係になって夜の関係を持つとか。
などはダメだった。」
飼っている金魚がぷくぷくと泡を立てている。
何か言いたそうだ。
金魚の言葉
(お前の妄想キモ。そんなだから彼女いないんだよ。)
「決して俺は変態ではない思春期なんだ。」
自分の妄想に自分で納得した。
もちろん金魚の言葉は聞こえていない。
そして、俺がこの仮説を立てた理由は至って簡単だった。
「俺は昔から夢で見たことが現実になることがたまに
あった。だが、それはどこかで見たようなとしか
感じなかったんだ。なんせ、ガキの頃だからな。」
昔を振り返りながら思う。
「しょぼい夢が現実になってばっかりだったな。
遠足が楽しみで遠足での弁当が何かなと考えながら寝たら
夢と全く同じ弁当が現実で出てきたとか
そんな感じだった。」
「高校生になってようやくおかしいと思い始めて
仮説を立てて実行したというわけだ。」
「で、自分の将来を見た結果がこれよ。」
今にも泣きたい。叫びたい。そんな気分。
「まぁ、この夢の力でなんとかなるよな!」
昨日と同じように想像する。
自分の将来結婚する相手を。
「毎日このノートに夢と現実についてのレポート的なことを書いていこう。」
「タイトルは、そうだなー・・・。」
キュッキュッと独特の音が部屋に響く。
ベットに横になり電気を消す前にネームペンでこうノートにタイトルを書いた。
「叶わぬ恋を叶えたい!」と。
ヒロイン可愛かった!
これからどんどん可愛くしていきます。
日曜か月曜に毎週1話あげます。
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