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anonymity

作者: iku

登場人物


加賀美 昇  18歳


渡辺 美咲  18歳


SNSとは何なのか?表と裏、そのどちらも知っておくのが身のためでしょう

2018年12月24日 一人の女性が亡くなった。死因は自殺、彼女は生前から

ネット上で心無い誹謗中傷を受けていた。



都内某高校

?「美咲~おはよう!!」満面の笑みで美咲に挨拶をする。

美「昇~朝からうるさい!!少しは静かにできないの?」と美咲は半分

呆れながら話している。

昇「ごめんごめんwwもう少し静かにすることを心掛けるから、ほら

この通り」そういうと昇は土下座をした。これがいつもの日課、この空間が

当たり前のである。

昇「美咲、そういえば最近SNS始めたんだって?」

美「そう、周りの人たちみんな使ってるから私も使ってみようかなって」

昇「難しかったら言ってくれよ~SNSマスターの昇さまにお任せを」

美「あんたSNS使ったことないでしょうが」


炎上…それはいつどこであるかなんてわからない。実際の話炎上なんて

一般人には関係ないんじゃないかって思うくらいだ。


高校2年修学旅行

昇は美咲に告白をした。美咲とは10年来の付き合いでここ2年くらいまでは

恋心なんてものは生まれていなかった。しかし高校に入ってからの2年で

美咲は女性らしさが増えていき、話すだけでも胸がズキズキ痛んでいた。

修学旅行の日、昇は後悔をしたくないと思い美咲に思いをぶつけた。

結果はOK!!近くで見ていた友人も昇をたくさん祝福をしてくれたのだった。


高校3年生夏

昇と美咲は付き合ってちょうど一年がたとうとしていた。

そんな中美咲にあるテレビ局からメールが届く、


美咲さまへ


渡辺美咲さま、わたくしたちはリアリティー番組を制作している

OOOテレビといいます。今回美咲さまにご連絡させて頂いたのは、

単刀直入に言わせていただきますとこのリアリティー番組に出演して頂きたいのです。

勿論美咲さまにはご立派な彼氏がいることは存じております。しかしこの番組はあくまでもフィクション、何も心配することはございません。

是非ご検討のほどよろしくお願いします。


昔から出たいと思っていたテレビ番組

しかしフィクションだからと言って

もしかしたら昇を傷つけてしまうかもしれない。美咲は葛藤をした。

ある日昇を家に呼び出しリアリティー番組に出演したい旨を伝えた。

そうすると昇は満面の笑みで「出てくればいいじゃん、憧れのテレビ出演でしょ。これで評価されれば出演依頼また来るかもしれないし」と

美咲は昇の心の広さに涙が出そうになったが、あえて強気な言葉で返した。

美「もしテレビの画面で私がイチャイチャしてても嫉妬しないでね」

昇「なんだと~誰がお前のイチャイチャで嫉妬するもんかよ」

今回の美咲の役柄は少し性格に難がある役、芸能人がやれば大炎上不可避みたいな役だが

美咲は一般人の高校生、まず恋愛リアリティー番組と言ってもまず誰がこんな番組を

ノンフィクション番組だと思うのか?

昇は炎上などあるはずがないと安心しきっていた。

今回美咲の役はいい感じのカップルの男にハニートラップを仕掛け

カップルを破局させ彼氏を自分のものにし、最終的にはルール違反で

退場するいわば泥棒猫といったところであろうか。役的には難しい立ち位置ではあるが、テレビに出る感激に浸っている美咲にとったら大した問題ではなかったようだ。

無事収録が終了し、その後は美咲自身も問題なく学業に励んでいた。


2018年10月

しかし事件は放映が始まってから1か月がたったころ、ちょうど美咲の役が

悪女に染まりかかった時期リアルタイムで視聴している視聴者の中で不穏

な空気が流れ始めていた。そしてある一件のツイートにより美咲は絶望に

堕ちることになる。


「美咲ってやつ男子の前では媚売っててキモイ」


このツイートが皮切りに徐々に美咲に関する誹謗中傷なツイートが

増えていった。


「この女キモイ」 「身の程を知れ」 「早く消えてくんないかな」


「なんでこの女いんの?」 「早く死ねよ」


この番組が放送されるたびにトレンドに乗る「美咲氏ね」というワード

最初は気にしていなかった美咲と昇ではあったが、ネット民の攻撃は

終わらない。遂には美咲の住所、SNS、家族構成、迷惑メールすら届くようになり

事態はエスカレートしていくばかりであった。


そこで昇と美咲はテレビ局へ向かい放送中止を求めた。

しかしテレビ局の上層部が首を縦に振ることはなかった。

個人の勝手で一つの番組をなくすことはできない。多額の損失が出てしまう、

ならあなた達がその損失を支払ってくれるのか?と、一度放送を中止すると

何十~なん百億円損失が出てしまう。大人ですら払うお金はないのにまだ高校生だった2人にそんなに払える額は到底持っているはずはなかった。

日に日にエスカレートしていくSNSでの誹謗中傷、最初は笑顔で余裕を見せていた美咲だったが徐々に笑顔が消え、食べ物がのどを通らない状態

になっていった。そんな彼女をただ見守ることしかできない昇はそんな自分を恨むことしかできなかった。

そのころから美咲は幻聴に悩まされることになった。

「ブス」 「見てるだけでイライラする」 「早く消えろよ」

「死んでしまえばいいのに」

美「違う私じゃない、これは本当の私じゃない。止めて…

 私をそれだけ苦しめれば満足するの!!」幻聴は徐々にひどくになり

美咲は学校を休むようになっていった。

美咲が苦しんでいながらも何事もないように放送テレビ局、それを良いことに

匿名で誹謗中傷をする人間に怒りを覚えるのだった。


12月24日

今日は美咲の誕生日、去年はおそろいのペンダントを購入したが

今年は過去とは決別し二人で新たな道に踏み出すという意味で、アウイナイトのリングをプレゼントしようと考えた。

[※アウイナイトの石言葉は過去との決別、励ましという意味]

昇はバイトで貯めたお金をすべて使い2個おそろいのものを買った。


しかし事件は起こった。昇のもとに美咲から電話がかかってきた。

電話先からは今にも泣きそうな声で美咲が話している。


美「昇…私もうダメみたい。今にも楽になりたい」

その瞬間に昇は嫌な予感がした。

昇「今どこにいるんだ!?美咲!!死んでも何も解決しない!

すぐに行く!!待ってろ!!」昇は美咲がいる高校へ無心に走っていった。」


学校屋上、そこには飛び降りようとする美咲の姿があった。

嫌な予感が的中してしまった。昇が近づこうとすると美咲が叫んだ

美「来ないで!!死ねばいいんでしょ!!死ねば!!」

昇「美咲!!何やってるんだ!!馬鹿な真似はよせ!!俺がついてる、俺がお前を守る!!だから…」

美「じゃあ私の代わりに炎上の的になってくれるの?じゃあ私の代わりに

誹謗中傷を受けてくれるの?そんなわけないでしょ!!容易く守るなんて言わないで!!私はもう耐えれない、SNSの誹謗中傷、嫌がらせ!!

テレビ局は知らんふり…私が死ねば炎上は終わる…そうでしょ!!だからここで死ぬの!!ここで死んで誹謗中傷をしてきたやつらに教えて

やるの…書き込み一つで人を殺せることを」

昇は言葉が出なかった。

美「だから…昇…バイバイ」

そういうと美咲は飛びおりた…


次の日

「ニュースをお伝えします。今話題沸騰中の恋愛リアリティー番組に

出演していた渡辺美咲さんが昨晩学校の屋上から飛び降り自殺したこと

がわかりました。」

昨日あの後美咲は救急車で運ばれ死亡が確認された。

昇は美咲を救うことができなかった。


美咲はSNSに殺された。


ネット民の誹謗中傷に殺されたのだ。


SNSには「渡辺美咲」がトレンドになっていた。

美咲は最後にSNSで誹謗中傷してきた奴らに愚かさを教えると言って

亡くなった。少しはメッセージがとどいたのであろうか?


しかしトレンドになっている場所を押すと誹謗中傷で埋め尽くされていた。


「自業自得」 「やっと死んでくれた」 

「死をもって償ったか」


「こんなんで死ぬの面白すぎww」


「てかこいつ彼氏いたんでしょ。彼氏も一緒に死ねばよかったのにww」


昇は絶望した。美咲が最後に残したメッセージは誰一人として

響いていなかったのである。


こいつらは人間ではない。悪魔である。人の死をなんとも思わない。

人をおもちゃとして見ている。一人炎上の標的が消えると新しい人物へ移行する。


昇は復讐を誓った。

「こいつらは生かしてはいけない。こいつらの生きる場所を…こいつらからすべて奪ってやる…見ていてくれ…美咲」



SNSはとても便利だ。しかし時に凶器になり、それだけで人を生かすことも殺すこともできる。その人を 生かすのか? 殺すのか?


この話はネットの誹謗中傷から人々を守る探偵ができる前のお話である。


            

anonymity [序章]

[完]

この作品はSNSでの誹謗中傷などをテーマにし、改めてSNSとは何なのか?というのを

もう一度考え直してほしいという願いからこの作品の執筆が始まりました。

今や世界の人口の約7割がSNSを使っているといわれています。

SNSでは世界の人と繋がれたり様々なメリットがあります。

しかし本当にメリットだけしかないでしょうか?

僕はそうではないと思っています。表があれば裏がある、世の中そのサイクルでできています。

この作品を通して少しでも感じていただけたら幸いです。



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