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#40 壊れる何か

ウオオオオアアアア\( 'ω')/アアアアアッッッッ!!!!!投稿できてなかったァァァ!








『それ、このまま行ったらグスタの身体ッ』


現状を聞くだけでも目眩がしそうだが、そんな中でも身体を制御しきれないグスタークはどれ程身体に悪影響な状態でやり合っているのだろうか……


いつか朽ちるかもしれない肉体


誰もが望まない結果になるのは目に見えている


『ええ、そう長くは保たないでしょうね、人間なんだもの』


「だから、俺を起こしてほしいんだよ」


起きたところで変わらないかもしれないけどね、と苦笑するグスターク


『今起きてるだろうが』


それは本当に気になったこと


今目の前にいるのに、眠っているのだろうか、と


操られているのを食い止めるために抗っていると思っていた


実際、それは間違いではないのだけど、やっている人物が違うらしい


「ちがうよ、これはね、意識を失う前に切り離したグスターク・フォン・リンディハイムの記憶の一部から出した記憶体、本体が目を覚まさないとこの現状が厳しいから」


記憶体は所詮は記憶体であり、本人である外側のグスタークよりも力は劣り、故に抗うと言っても大樹の王が本領発揮できないように魔力を他所に逃がすことしか出来ない


その結果が、今のところ誰も気がついていないけれど、著しく精度の下がった今までの攻撃


故に今の所、リヴァスト達へのダメージにはなっていない


多分、そういうことでもしないと誰かしら死んでいただろうから


『それ、聞かされてたんだけどどういうこと?目が覚めたら勝てるってこと?』


「そうじゃないよ、目を覚ませば少しはこの負の感情の緩和になるんじゃないかなって、どうしようもなく子供だよね、成長なんてしてない」


ずっとぐるぐるしてて、この声聞かせてあげたいよ、と言う記憶体は苦笑している


ミレニアノールも聞こえているのか悲しそうに目を伏せる


今まで、誰も聞くことがなかったグスタークの本心


いや、聞こうとしてこなかった


最近になって気持ちを聞こうとしてきただけで、昔から抱えていた気持ちなんて誰も……


いや、リヴァストは聞いていた、聞いていたけど、更に深いところまでは聞いたことが無かった


自分で言うなら、なんて、口下手で感情のコントロールだって未だに上手くできないグスタークにそれは酷だと今更に悟った


まだグスタークが12までなら、喧嘩をしたくらいにはグスタークがそういうことを口にするのが苦手だった


人と触れ合うようになってから幾分かマシになった、と勘違いしていた


「ここまで生きてきたくせに、もう16なくせに……俺でもわかるよ、こんなに臆病で、子供みたいに必死に手を伸ばしてさ、なんでずっとこれまで生きてきて迷子なんだよ……心がついて行かなかったんだね……あんなに戦いは強いのにね」


リヴァストは、グスタークの心が危ういことは理解していた


理解しているつもりだった


いつも子供のようにはしゃいで、子供のようにおちゃらけて、怒っても悪びれないどころかおどけて見せる


でもそれは反動なことも理解していた


一人になると、途端に脆い人間になるタイプだった


力がなまじ有るだけに友人も出来なくて


誰よりも頭が良くて人が寄って来なくて


うまく行かないと一人で癇癪を起こして


それでも誰か別の人に当たる事はなくて


愛して欲しいと、一緒にいて欲しいと泣くくせに、何時だって掴み所がないように振る舞って


何時も笑っているのを少しでも気を抜けばいいのに……


『どう起こせばいい』


いっそ抱きしめて気絶させるか?と言うとハディレイがそんな死の抱擁やだぁ、と引かれた


お前それでも死に神か、と言われればハディレイは『それ人が言ってきたことだもん俺じゃないもん人間のせいだもん』とリヴァストに返す


ハディレイ完全に弟ポジである


「そこは盛大にバチコーンっと!」


『お前、それ、一応お前でもあるんだぞ』


「大丈夫!感覚のリンクはしてない」


『そうじゃねえんだよなぁ』


リヴァストのバチーンは多分頭もげるだろうなぁ、とリュェラスですら首を擦って首を横に振る


力の序列第一位はリヴァストだし、人との関わり合いの長さ第一位もリヴァスト、魔法技術もリヴァストが群を抜いている


『ねえ、皆はあの子のこと大切?』


ミレニアノールはぽつりと呟く


『ああ、そうだな』


『皆はあの子がこれからする事、許せる?』


『許せない事したら後で怒る』


身体が治ってからな、と言うリヴァストに記憶体とミレニアノールは向かい合って目を伏せた


その理由は聞きたくないので誰も聞かなかった……


『全て   としても?』


『あ?なんだって?』


『時間だね、この力もそんなに使えないんだ、なんせジレムのいる場所って   だし』


『だからッ』


「とりあえず、よろしくね、記憶の欠片の俺だけど、あえて嬉しかったよリヴァ ト」


「!グスタ!」


『僕も、お前たちに会えて、話せて嬉しかったよ、じゃあ後は頼む』


白い空間から戻された場所では、ゴライアス召喚の少し前に戻されていた


だがヘルミーナは此処にいる


ジレムが詫びでやったのか、それともグスタに言われて嬉しくなって戻したか、である


『ああもう!………だが、これで隙を突けるって訳だ!』


聖獣達が対精霊用魔法を準備する


ゆるゆると時間が動き始める


そろそろ力が切れる、そう分かった時、リヴァストの前にアレクが前に出た


そして、流石というか、アレクは召喚魔法陣を殴って割った


ハディレイとゴリアテは『ヒィッ』と悲鳴を上げた


リヴァストは慣れろよ、と呆れている


『『『【滅精砲】!!』』』


時間が戻った瞬間に放つ


すると、呆気にとられた表情をして負の大樹の王が障壁を展開するが、精霊が出した事実がある障壁は無意味で、障壁は呆気なく破壊された


『お前の敗因は寝た事だろうが人に拗ねて暴れて迷惑かけるくらいなら素直に俺だけにぶつけてりゃ周囲被害なかっただろうがこの馬鹿!』


リヴァストは一発重い拳をグスタークの腹へ打ち込み、グスタークは血を吐いて地面に落ちる


ずっと浮いていたのでおそらく地面に何かしらあるのかもしれない


大樹の王なのに地面に降りないなんてありえない


「グスタっ」


「『【アルスヘヴン】』」


『こいつ起きたら張り倒す!』


『んな可哀想なことするな!本人の意志じゃねえっての!』


出来れば叩くなどはしてやって欲しくない


散々人に振り回されて傷ついたのだからこれ以上傷つける必要はない


なにより、リヴァストにやられるのはなんだかんだであまり好きじゃないグスタークだから、するであっても他の面子がするべきだ


『知ってるけどなんか腹立つ!高等魔法ばっかり!』


『俺達が中級魔法で苛めたからだろ!?』


「『【アルス・ノヴァ】』」


負の大樹の王の口から吐き出された咆哮がヘルミーナの髪を掠める


ひゅっと息を呑むカイウスやエディ、アルブエストもギリッと歯を噛みしめる


『ミーナ!』


「平気です!そもそも戦いに長い髪とか不必要ですから!ただグスターク様本人は気にされるでしょうから一緒にフォローお願い致します!」


『そうだな!』


「『【フォトン・ヘイム】』」


「【ヘルヘイム!】」


ヘルミーナが【フォトン・ヘイム】を相殺するために【ヘルヘイム】を使う


これも両者高等魔法だが、世界からの手助けがある負の大樹の王とではヘルミーナの【ヘルヘイム】は威力が負けている


そもそも【フォトン・ヘイム】は日中は威力を増す聖魔法(光の柱で圧力を掛けて魔を払う)し、【ヘルヘイム】は夜に力を増す魔法で【ヘルヘイム】の威力は聖魔法相手だと半減する闇魔法(闇炎の柱で圧力を掛けて死を齎す)


だが、世界でなくても、聖獣や精霊達の手助けがあるだけで十分の威力だった


死を齎す魔法であったとしても、聖魔法相手だからヘルミーナは使った


『『『【Magic Enchantment the Darkness】!!』』』


たとえ相性最悪だったとしても、リヴァストとハディレイ、そしてカリュファーの攻撃力底上げ魔法で負の大樹の王よりも威力が勝った


勝った筈だった


「『【グレイフィス】』」


『あの野郎!』


カリュファーがヘルミーナを引き寄せる


その横をギリギリ咆哮並の威力の砲撃が通り過ぎると、抉りとられた地面は草木が枯れ、通りすがっただろう動物の命すら狩った


一部だけがゴロリと地面を転がり、ルーシスはギリギリと歯を噛みしめる


人を傷つけることだけは今まで絶対にしなかった


絶対にやってはいけない事だと言う時だけ、まあリヴァストにはおちょけてする事もあったけれど


それでも、仲が良いからの関係でするものを超えている


当人の意思を無視した攻撃


そんな事は絶対あってはいけないのだ


「【ハィヴィスストライク】!」


ルーシスの威力増大付与の物理攻撃と、その後ろからの、いつからそこにいたのかを気付かせなかったトゥイユとアレクの同時攻撃


慌てて避けるには数が多く、負の大樹の王は吹き飛ばされ、身体の一部が吹き飛んでいる


ルシュテーカは『オイ!』と叫ぶ


腹から血を垂れ流すグスタークの肉体


慌てて駆け寄ったリヴァストだったが、作戦だったのか


リヴァストが身体を抱き起こした瞬間、傷は消えてリヴァストの身体に蔓を巻きつける


ドレインされていると解って慌ててトゥイユが蔓を燃やしてリヴァストはすぐに離脱する


舌打ちをしたリヴァストだが、そこまで吸われたわけでもないのにグスタークの周囲には沢山の魔物寄りの食虫植物が生い茂る


勘弁してくれ、と思いながらゴリアテは地面を腐敗させようとする


だが、そんな事は予測済みだったらしく、対抗して再生と活性化の魔法を使う負の大樹の王に精霊、聖獣達は舌打ちする


「『【ゼロストーム】』」


リヴァストは我慢ができなくなったらしく………


『ははははは!ぶっとばーす!!』


『嘘だろ!?』


『【ダークネスインパクト】』


『退避!』


大樹の王はそんな中でも突っ込んでくる


「『【ホーリーインパクト】』」


もぉやだこいつら!とハディレイは叫ぶ


カリュファーとナタリシアも同意見らしくヘルミーナやノイド、ルーシス達を掴んで走る


幼い姿だが流石精霊や聖獣だと思った


普通よりも早かった


『お"ら"ッ』


『ちったぁ優しくしてやれってんだ!』


二人の力がぶつかる


すると、力が跳ね返ったのか大樹の王は吹き飛ばされた


倒れたグスタークにドレインされないように恐る恐る近付く


ただ、先程とは様子が違うグスターク


「り……う"……りぶ」


『っ、どっちだ』


そう言いながらもグスタークとして抱きしめるとグスタークはボロボロと涙を流す


ヘルミーナはそんなグスタークの頭を撫でる


「グスターク様、ですかね」


『一時的に戻った、か?』


「………り、ぶ」


『どうした』


「……さムい……サみしイ……」


『側に居るだろう、全員』


「わからない、みえない」


『……グスタ、大丈夫だ』


「グスターク様」


「誰ッだれだよっちがうっ!おれはそんななまえっなま、なまえ?なまえってなに、なに」


「種子の力で記憶の混濁が見られる、これ以上はこの子の身体に良くない」


「いやだ、ま、まだっまだしぬのは、………そウだ、殺セバ、きおく、テに入る」


「いけません!それは貴方の今までの思想に反していますっ」


「うぅぅるせぇぇぇぇ!」


グスタークは精霊、聖獣達を弾き飛ばす


ヘルミーナや他の人間達も吹き飛ばされたが、ハディレイやナタリシア、カリュファーによって受け止められる


「殺す、殺す殺す、お前がっおまえのっおまっおまえのきおく!きおくほしい!」


「純粋な種子なら、ここまで狂うなんてこと無かっただろうに」


ふふふ、と笑いながら現れた男に、リヴァストは殴りかかろうとする


「お前、なんの種子を入れたッ」


「大樹の種子と失われたとされる過去の宝珠だ、ははは!これで聖獣や精霊に愛された人間が愛に仇を返すのだ!無様だ!ふはは!」


「………宝珠、失われたとされる………」


男は、そこからぽつりぽつりと話し始めたのだった………






ミレニアさんの性別はとくに無いので無性(自由に変化する)です

主人公壊すのが好きですが主人公最強も好きです

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